地域別の脳卒中生涯リスク、東アジアで39%/NEJM

2016年において世界全体の25歳以降の脳卒中生涯リスクは、男女ともに約25%であり、同リスクは地理的ばらつきがみられ、東アジア、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパで高率であった。米国・ワシントン大学のGregory A. Roth氏らGBD 2016 Lifetime Risk of Stroke Collaboratorsが、1990年と2016年の脳卒中生涯リスクについて調べ明らかにした。脳卒中生涯リスクは、限られた選択的集団で算出されているが、研究グループは、主要疾患有病率の包括的な研究データを用いて、地域別、国別、および世界全体レベルでの推算を行った。NEJM誌2018年12月20日号掲載の報告。
GBD研究2016を用いて、25歳以上成人の累積生涯リスクを算出
研究グループは、世界の疾病負担(GBD)研究2016の脳卒中発症率の推定値と、脳卒中以外の全死因死亡の競合リスクを用いて、25歳以上成人における初発の脳卒中・虚血性脳卒中・出血性脳卒中の累積生涯リスクを算出した。1990年と2016年の生涯リスクの推定値を比較し、また、GBD研究で使用されていた社会人口学的指標(SDI)の五分位分類に基づき各国をグループ分けし、グループごとのリスクを比較した。比較には、点推定値と不確定区間(推定値の2.5パーセンタイルから97.5パーセンタイルまで)を用いた。
地域分類では東アジア(38.8%)が最も高率
2016年における世界全体の25歳以降の脳卒中推定生涯リスクは、24.9%(95%不確定区間[UI]:23.5~26.2)であった。男性は24.7%(同:23.3~26.0)、女性は25.1%(同:23.7~26.5)であった。虚血性脳卒中リスクは18.3%、出血性脳卒中は8.2%であった。
高SDI国、高~中SDI国、低SDI国の脳卒中推定生涯リスクはそれぞれ23.5%、31.1%、13.2%で、高~中SDI国で最も高く、低SDI国で最も低かった。95%UIの重複は、これらのグループ間ではなかった。
GBDの地域分類で脳卒中推定生涯リスクが最も高かったのは、東アジア(38.8%)、中央ヨーロッパ(31.7%)、東ヨーロッパ(31.6%)であった。最も低かったのは、サハラ以南のアフリカ地域(11.8%)であった。
世界全体の脳卒中平均生涯リスクは、1990年は22.8%であったが、2016年は24.9%へと上昇し、相対的な上昇率は8.9%(95%UI:6.2~11.5)であった(脳卒中以外の全死因死亡の競合リスクを考慮して算出)。
(ケアネット)
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日本人の脳卒中生涯リスク:4人に1人が脳卒中になる(解説:有馬久富氏)-1000
コメンテーター : 有馬 久富( ありま ひさとみ ) 氏
福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学 教授
J-CLEAR会員