PCSK9阻害薬とスタチン、効果も影響もほぼ同じ/NEJM

PCSK9遺伝子多様体と、スタチンが標的とするHMGCR遺伝子多様体は、LDLコレステロール単位当たりの低下につき、心血管イベントリスクにはほぼ同様の低減効果を及ぼすことが、また糖尿病リスクには非常に類似した増大効果を及ぼすことが明らかにされた。また両遺伝子多様体の影響は、独立的かつ相加的であることも示された。米国・ウェイン州立大学のBrian A. Ference氏らによる遺伝子多様体スコア研究の結果で、NEJM誌2016年11月30日号で発表された。PCSK9の薬理学的阻害は、臨床試験で心血管疾患治療について評価がされている。しかし、スタチンと同様に、PCSK9阻害によるLDLコレステロール低下の心血管イベントおよび糖尿病のリスクへの影響は明らかにされていなかった。
PCSK9多様体またはHMGCR多様体により低下したLDL-C値の影響を比較
研究グループは、PCSK9およびHMGCRをコードする遺伝子多様体から構成された遺伝子スコアを操作変数として用いて、14試験の被験者11万2,772例(加重年齢中央値59.9歳、心血管イベント1万4,120例、糖尿病例1万635例を含む)を無作為にPCSK9多様体スコア群とHMGCR多様体スコア群に分類した。また、LDLコレステロール値を低下するアレル数によって、被験者を分類(スコア中央値でabove群とbelow群に二分)した。PCSK9多様体またはHMGCR多様体によって低下したLDLコレステロール値の、心血管イベントリスクおよび糖尿病リスクへの影響について比較した。
心血管イベントには同様の保護効果、糖尿病リスクは同様に増大
PCSK9多様体とHMGCR多様体は、心血管イベントリスクについてほぼ同様の保護効果が認められた。PCSK9多様体によるLDLコレステロール値10mg/dL(0.26mmol/L)低下ごとの心血管イベントに関するオッズ比は0.81(95%信頼区間[CI]:0.74~0.89)で、HMGCR多様体による場合は0.81(同:0.72~0.90)であった。また両遺伝子多様体は、糖尿病リスクについても非常に類似した影響が認められた。LDLコレステロール値10mg/dL低下ごとの糖尿病に関するオッズ比は、PCSK9多様体の場合は1.11(95%CI:1.04~1.19)、HMGCR多様体は1.13(同:1.06~1.20)であった。
糖尿病リスクの増大は、PCSK9多様体スコア群とHMGCR多様体スコア群いずれにおいても、ベースラインで空腹時血糖異常値を有した被験者に限ってみられた。同リスク増大は、心血管イベントへの保護作用に比べて小さかった。
PCSK9多様体とHMGCR多様体両者が存在する場合は、心血管イベントと糖尿病の両者のリスクについて、相加的な影響があることも確認された。
(ケアネット)
[ 最新ニュース ]

慢性C型肝炎、ソホスブビル/ダクラタスビルvs.ソホスブビル/ベルパタスビル/Lancet(2025/05/16)

obicetrapib/エゼチミブ配合剤、LDL-コレステロール低下に有効/Lancet(2025/05/16)

死亡リスクの高いPAH患者に対するアクチビンシグナル伝達阻害剤sotatercept上乗せの有効性が証明された(解説:原田和昌氏)(2025/05/16)

アトピー性皮膚炎への新規外用薬、既存薬と比較~メタ解析(2025/05/16)

CT検査による将来のがんリスク、飲酒や過体重と同程度?(2025/05/16)

アリピプラゾール持続性注射剤の治療継続に影響する要因(2025/05/16)

“スマートシャツ”で心臓病を予測(2025/05/16)

子宮頸がんワクチンの接種率は近隣の社会経済状況や地理に関連か(2025/05/16)
[ あわせて読みたい ]
片頭痛特集まとめインデックス(2021/08/31)
アクティブラーニングで英語習得!医療者限定のオンラインプログラム開講(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 膠原病(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 消化器(消化管)(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 消化器(肝胆膵)(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 感染症(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 腎臓(2021/06/10)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 循環器(2021/06/10)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 内分泌・代謝(2021/04/20)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 呼吸器(2021/04/20)