大腸内視鏡検診、がんの生涯リスクを抑制/JAMA

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大腸内視鏡検診、がんの生涯リスクを抑制/JAMAのイメージ

 大腸内視鏡による大腸がん検診では、腺腫検出率(adenoma detection rate:ADR)が高いほど、大腸がんの発症や大腸がん死の生涯リスクが抑制され、費用は増大しないことが、オランダ・エラスムスMC大学医療センターのReinier GS Meester氏らの検討で示された。ADRは検診の質の指標とされるが、施術者によって3倍以上の大きなばらつきがみられ、最もADRが高い施術者に比べ最も低い施術者では、10年以内の大腸がんの発症リスクが約50%、がん死のリスクは約60%上昇するという。一方、ADRが高いと低リスクの小ポリープの検出が増加し、追加検査や合併症が増えるため、不利益が利益を上回る可能性が示唆されている。JAMA誌2015年6月16日号掲載の報告。

非検診群と五分位群を比較
 研究グループは、地域住民ベースのデータを用いて大腸内視鏡による大腸がん検診プログラムの利益や合併症、費用の評価を行った(米国国立がん研究所[NCI]の助成による)。

 1998年1月1日~2010年12月31日の間に、136人の医師による大腸内視鏡検査を受けた5万7,588人について、マイクロシミュレーションモデルを用いた解析を行った。大腸内視鏡のADRを五分位群(Q1~5)に分け、非検診群と比較した。

 五分位群の平均ADR値(範囲)は、第1五分位(Q1)群が15.32%(7.35~19.05)、第2五分位(Q2)群が21.27%(19.06~23.85)、第3五分位(Q3)群が25.61%(23.86~28.40)、第4五分位(Q4)群が30.89%(28.41~33.50)、第5五分位(Q5)群は38.66%(33.51~52.51)であった。

 10万人年当たりの大腸がん発症率は、Q1群66.6件からQ4群39.0件へと低下したが、Q5群は49.7件であった。

合併症が増加、ネットコストは減少
 非検診群における大腸がん発症の生涯リスクは1,000人当たり34.2件(95%信頼区間[CI]:25.9~43.6)であり、大腸がん死リスクは13.4件(10.0~17.6)であった。

 検診群では、Q1群の大腸がん発症率は1,000人当たり26.6件(95%CI:20.0~34.3)であったのに対し、Q5群は12.5件(9.3~16.5)で、大腸がん死亡率はQ1群の5.7件(4.2~7.7)に対しQ5群は2.3件(1.7~3.1)であり、いずれもADRが高いほどリスクが低かった。

 Q1群と比較して、ADRが5%上昇するごとに、大腸がん生涯発症率が平均11.4%(95%CI:10.3~11.9)低下し、死亡率は平均12.8%(11.1~13.7)減少した。

 合併症は、Q1群では大腸内視鏡検査2,777件当たり6.0件(95%CI:4.0~8.5)に認められたのに対し、Q5群では3,376件当たり8.9件(6.1~12.0)に増加した。

 また、検診のネットコストは、Q1群の210万米ドル(95%CI:180~240万)から、Q5群では180万(130~230万)米ドルへと減少した。

 著者は、「ADRの変動の原因解明や、ADRの上昇が患者アウトカムを改善するかを評価するには、さらなる検討を要する」としている。

(菅野守:医学ライター)

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マイクロシミュレーションモデルを用いた大腸腺腫検出率と大腸がん検診の解析(解説:上村 直実 氏)-389

コメンテーター : 上村 直実( うえむら なおみ ) 氏

国立国際医療研究センター国府台病院 名誉院長

東京医科大学 消化器内視鏡学講座 兼任教授

J-CLEAR評議員

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