エナラプリル+葉酸、脳卒中を有意に低下/JAMA

降圧薬エナラプリル(商品名:レニベースほか)単独よりも、葉酸を併用したほうが、高血圧患者の脳卒中初発が有意に低下したことが報告された。中国・北京大学第一病院のYong Huo氏らが、同国高血圧患者で脳卒中または心筋梗塞の既往歴がない2万702例を対象に行った無作為化二重盲検試験CSPPTの結果、報告した。これまで、脳卒中1次予防に関する葉酸の効果については、データが限定的および一貫性がないため不明であった。JAMA誌オンライン版2015年3月15日号掲載の報告より。
中国人高血圧患者2万例超で、vs.エナラプリル単独の二重盲検無作為化試験
研究グループは、中国人高血圧患者の1次予防に関して、エナラプリル単独よりも葉酸サプリメントを併用したほうが、初発の脳卒中発生を抑制する効果が大きいとの仮説について検証するCSPPT(China Stroke Primary Prevention Trial)を行った。試験は2008年5月19日~2013年8月24日に、江蘇省と安徽省の32地域で行われ、高血圧症で脳卒中または心筋梗塞既往歴のない2万702例が参加した。
被験者を、MTHFR C677T遺伝子型(CC、CT、TT)によって層別化し、1日1回、エナラプリル10mgと葉酸0.8mgを含んだ合剤を投与(1万348例)またはエナラプリル10mg錠剤を投与(1万354例)する群に無作為に二重盲検下で割り付けて追跡した。
主要アウトカムは脳卒中の初発であった。副次アウトカムは、初発の虚血性脳卒中、初発の出血性脳卒中、心筋梗塞、心血管イベント複合(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)、全死因死亡などだった。
併用群の初発脳卒中リスクハザード比0.79
治療期間中央値4.5年間で、エナラプリル単独群と比較して、葉酸併用群は、初発脳卒中リスクは有意に低下した(葉酸併用群2.7% vs. エナラプリル単独群3.4%)。ハザード比(HR)は0.79(95%信頼区間[CI]:0.68~0.93)だった。また、初発の虚血性脳卒中(同:2.2% vs. 2.8%、HR:0.76)、心血管イベント複合(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)(同:3.1% vs. 3.9%、HR:0.80)も有意に低下した。一方、出血性脳卒中(HR:0.93)、心筋梗塞(同:1.04)、全死因死亡(同:0.94)は、両群で有意差はみられなかった。
有害事象の発生頻度については両群間で有意差はなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)
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葉酸補充で、脳卒中が減る-臨床試験デザインの重要さを、あらためて教えてくれたCSPPT試験(解説:石上 友章 氏)-352
コメンテーター : 石上 友章( いしがみ ともあき ) 氏
横浜市立大学医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学教室 准教授
J-CLEAR評議員