結節性多発動脈炎の原因遺伝子を特定/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/06

 

 アデノシンデアミナーゼ2の機能喪失性劣性突然変異が、結節性多発動脈炎(PAN)の原因となりうることが判明した。イスラエル・Shaare Zedek Medical CenterのPaulina Navon Elkan氏らが、PAN患者の遺伝子配列を解析し明らかにした。PANは全身性壊死性血管炎だが病因については十分に解明されていない。発症は中年成人が一般的だが小児においてもみられ、グルジア・コーカサスを祖先とするユダヤ人では、小児の発症が頻繁に観察されていた。研究グループも先行研究にて、全身性または皮膚型PAN患者が家族内に複数認められる6家族を特定しており、いずれも常染色体劣性遺伝が認められ、小児期の発症が大半を占めていたという。NEJM誌オンライン版2014年2月19日号掲載の報告より。

家族内に複数患者のいる6家族などを調査
 今回、研究グループは、家族内に複数の患者がいる患者(グルジア・ユダヤ系5家族16例、ドイツ系1家族4例)と、血縁患者がいない患者(グルジア・ユダヤ系3例、トルコ系14例)について、エクソーム配列解析と標的配列解析を行った。

 患者の血清標本の酵素活性試験を行い、蛋白構造、哺乳動物細胞発現、精製タンパク質の生物物理学的解析を行い、遺伝子変異を分析した。

すべての被験者家族患者でADA2をコードするCECR1変異
 その結果、家族内患者がいる被験者におけるPANの原因は、アデノシンデアミナーゼ2(ADA2)をコードするCECR1遺伝子の劣性突然変異であることが示された。

 また、すべてのグルジア・ユダヤ系患者に、Gly47Arg置換をコードする変異がみられた。ドイツ系の患者では、Arg169GlnとPro251Leu突然変異のヘテロ接合が、トルコ系ではGly47ValとTrp264Serのヘテロ接合がみられた。

 同族結婚の多いユダヤ系集団では、Gly47Arg遺伝子キャリアの発生率は0.102であり、PAN罹患率が高い点と整合性がとれていた。

 患者の血清標本中のADA2活性には、有意な減少が認められた。

 以上の結果から研究グループは、ADA2の機能喪失性劣性突然変異が、多変な臨床的発現を伴うPANの原因となりうる、と結論している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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コメンテーター : 金子 開知( かねこ かいち ) 氏

東邦大学医学部 内科学講座 膠原病学分野

J-CLEAR推薦コメンテーター