ICUの耐性菌感染率、手袋とガウン常用を義務づけても低下せず/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/10/31

 

 ICUにおいて、患者と接する際には常に手袋とガウンを着用することを義務づけても、処置や手術時に着用する通常ケアの場合と比べて、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の感染率について有意な差は認められなかったことが、米国・メリーランド大学のAnthony D. Harris氏らによる無作為化試験の結果、報告された。これまでICUでのユニバーサルな対応が耐性菌の感染を抑制するかどうかは不明であったという。JAMA誌2013年10月16日号掲載の報告より。

通常ケアとユニバーサルな着用義務づけ介入とを多施設で比較検討
 試験は、ICUにおいて、全患者に対して手袋とガウンの着用を義務づける介入が、通常ケアと比較してMRSAやVREの感染を抑制するかを評価することを目的とした。2012年1月4日~2012年10月4日の間、全米20病院のICUにて行われたクラスター無作為化試験であった。

 介入群では、医療従事者は全員、ICUに入室する際に、接触する患者を問わず手袋とガウンを着用することが要求された。

 主要アウトカムは、MRSAまたはVREの感染率で、入院時およびICU退出時のサーベイランス培養に基づいて評価した。副次アウトカムとして、VRE、MRSAそれぞれの感染率、医療従事者が入室した回数、手指消毒コンプライアンス、医療従事者が関連した感染、有害イベントなども評価した。

MRSA感染率単独では減少みられたが、限定的な結果とみるべき
 試験期間中の患者2万6,180例から、主要アウトカムの解析に9万2,241件のスワブが集まった。

 介入群の感染率は、ベースライン時1,000患者・日当たり21.35(95%信頼区間[CI]:17.57~25.94)から、試験期間中は同16.91(同:14.09~20.28)に低下していた。一方、対照群も、同19.02(同:14.20~25.49)から16.29(同13.48~19.68)に低下しており、両群に統計的な有意差は認められなかった(1,000患者・日当たりの感染格差:-1.71、95%CI:-6.15~2.73、p=0.57)。

 また、副次アウトカムでは、VRE感染率は差がみられなかったが(格差:0.89、95%CI:-4.27~6.04、p=0.70)、MRSA感染率はわずかに減少がみられたが有意差はなかった(同:-2.98、-5.58~-0.38、p=0.46)。

 介入群では、医療従事者の入室回数が有意に減り(1時間につき4.28回vs.5.24回、格差:-0.96、95%CI:-1.71~-0.21、p=0.02)、入退室時の手指消毒コンプライアンス率が上昇した(78.3%vs.62.9%、格差:15.4%、95%CI:8.99~21.8、p=0.02)。しかし、有害イベントへの統計的に有意な効果はみられなかった(有害イベント発生率は1,000患者・日当たり58.7件vs. 74.4件、格差:-15.7、95%CI:-40.7~9.2、p=0.24)。

 著者は、「ICUにおいて手袋とガウンの常用が通常ケアと比べて、主要アウトカムのMRSAまたはVRE感染率の差には結びつかなかった。MRSA単独では感染率の低下がみられたが、有害イベント発生率には差はみられず、これらの結果は限定的なものであり、さらなる検証が求められる」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)