新たに開発された臨床的因子に基づくシンプルなリスクスコアが、進行性腫瘍(advanced neoplasia;AN)の発症リスクが高く、大腸内視鏡検査によるスクリーニングの開始が推奨される45歳未満の人の特定に有用な可能性のあることが明らかになった。ANとは、10mm以上の管状腺腫、または絨毛成分を含む腺腫(管状絨毛腺腫、絨毛腺腫など)、高度異型腺腫、10mm以上の鋸歯状病変、異形成を伴う鋸歯状病変、鋸歯状腺腫、浸潤性腺がんを包括する概念である。米クリーブランドクリニックの消化器科医であるCarole Macaron氏らによるこの研究は、「Digestive Diseases and Sciences」に2月13日掲載された。
この研究は、2011年から2021年にかけて第3次医療機関で大腸内視鏡検査を受けた18〜44歳の成人9,446人(平均年齢36.8±5.4歳、女性61.0%)を対象にしたもの。Macaron氏らはまず、対象者を、ANが確認された症例群(346人)と、大腸に異常がないか非進行性腫瘍(NAN)のみが確認された対照群(9,100人)に分類した。その上で、4,723人をトレーニングセットとして抽出し、多変量ロジスティック回帰分析を用いてさまざまなリスク因子とANの関連を評価した。
ANと有意な関連を示す因子として、大腸がんの家族歴(第一度近親者、その他)、BMI、喫煙(元喫煙者、現喫煙者)が特定された。この解析結果を基に各リスク因子にポイントを割り振ったスコアモデル(1〜12点)を作成し、検証セットでも、ANと同様の有意な関連を示すかを検証した。その結果、モデルの予測精度は中程度であり、妥当性が確認された。最後に、全データセットにスコアを適用してAN検出率を推定したところ、1点の場合で1.8%、9点以上で14%超であり、スコアが高いほど検出率も上昇することが確認された。
研究グループは、「このリスクスコアに基づくことで、医師は45歳未満の成人の大腸がんやがん化する可能性のあるポリープを発症するリスクを推定できる。リスクがあると予測された人は、現在推奨されている年齢よりも早い段階で大腸がん検診を受け始めることができる」と述べている。
Macaron氏は、「現在、大腸がん発症に対するリスクが平均的な人の場合、検査を開始する推奨年齢は45歳だが、データによると、若年性大腸がんと診断された患者の約半数は45歳未満だ」と指摘する。その上で同氏は、「このリスクスコアは、45歳未満の患者に対するスクリーニング検査推奨の個別化に役立つ」と述べている。
[2025年3月7日/HealthDayNews]Copyright (c) 2025 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら