わさびは高齢者の記憶力を向上させる

提供元:HealthDay News

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公開日:2024/01/08

 

 わさびには記憶力を高める効果がある可能性が、健康な少人数のボランティアを対象とした日本の研究で示唆された。論文の筆頭著者である、人間環境大学総合心理学部教授の野内類氏は、「わさびが健康に良いことは、先行の動物実験で明らかになっていた。それでも、今回の研究で示されたわさびの記憶力向上効果の大きさには、本当に驚かされた」と述べている。野内氏と東北大学加齢医学研究所教授の川島隆太氏を中心とする研究グループによるこの研究結果は、「Nutrients」に10月30日掲載された。

 この研究では、健康なボランティア72人(平均年齢65.43歳、女性53人)を対象に二重盲検化ランダム化比較試験を実施し、わさびに含まれている抗酸化・抗炎症化合物であるヘキサラファン(6-MSITC)の摂取が認知機能に与える影響について検討した。対象者は、12週間にわたってヘキサラファン0.8mgを含有するわさび抽出物のサプリメントを摂取する群(ヘキサラファン群)とプラセボを摂取する群(プラセボ群)にランダムに割り付けられた。介入前と介入後に対象者の認知機能(実行能力、エピソード記憶、処理速度、作業記憶、注意力)の評価を行った。

 解析の結果、ヘキサラファン群ではプラセボ群と比べて、エピソード記憶と作業記憶の成績が有意に向上していることが明らかになった。これら2つ以外の認知機能については、プラセボ群との間に有意な差は認められなかった。野内氏は、「わさび抽出物のサプリメントを投与された対象者は、高齢者の記憶に関する主な問題である顔と名前の関連付けにおいて、より良好なパフォーマンスを見せた」と具体的な説明を加えている。

 では、なぜわさびを摂取すると記憶力が向上するのだろうか。野内氏らは、ヘキサラファンには、記憶を司る脳の海馬領域の炎症を抑制し酸化レベルを低下させる作用があるのではないかと推論している。

 野内氏は、脳の健康を保つための方法とされる地中海食、運動療法、音楽療法などは離脱率が高いことから、わさびに注目したと話す。同氏は、わさびを高齢者でも摂取しやすいサプリメントにすることで、毎日の摂取が容易になり、かつ生姜やウコンなど他の抗炎症スパイスよりも効果を見込めると考えたという。

 研究グループは、他の年齢層にもわさびを摂取させ、認知症患者の記憶力低下を遅らせることができるかどうかを調べる予定であると述べている。

 なお、本研究には、わさび商品を製造する金印株式会社が資金を提供したが、研究グループは、同社が研究自体には関与していないと述べている。

[2023年12月5日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら