感染症は認知症リスク上昇と関連しているのか

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/07/16

 

 感染症が認知症リスクに及ぼす影響については、生物学的加齢の加速による影響との比較において、どの程度なのかは明らかではない。中国・北京大学のRuoxi Ding氏らは、感染症と認知症の関連性を評価し、生物学的加齢の加速が感染症と認知症リスクの関係を修飾するかどうかを検討した。Brain, Behavior, and Immunity誌2026年10月号の報告。

 2006~10年の英国バイオバンク・コホートデータより抽出された37~73歳の参加者33万9,463例を対象とし、プロスペクティブ研究を実施した。入院治療を受けた感染症と認知症の既往は、医療記録統計およびスコットランド疾病記録との連結によって特定した。入院治療を受けた感染症と認知症発症リスクとの関連性を評価するために、Cox回帰モデルを用いた。表現型年齢は、米国国民健康栄養調査(NHANES)IIIのデータを用いて開発された検証済みの死亡リスクアルゴリズムから算出した。感染症と認知症(すべての原因による認知症、若年性認知症、血管性認知症、アルツハイマー病)との関連性を評価するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・13.51年のフォローアップ期間中に、5,638例の認知症の新規発症が確認された。
・入院治療を受けた感染症は、認知症リスクの増加と有意な関連が認められた(ハザード比[HR]:2.39、95%信頼区間[CI]:2.25~2.53)。
・病原体の種類、臨床的重症度分類、解剖学的部位にかかわらず、一貫したパターンが認められ、ほとんどの感染症が若年性認知症リスクの増加と有意に関連していた。
・この影響は、APOEε4保有者と非保有者の両方において、また認知症のサブタイプや社会人口統計学的グループ間でも一貫して認められた。
・表現型年齢と感染症の相互作用は、認知症リスクと有意な関連を示した(HR:1.20、95% CI:1.06~1.37)。このことは、表現型年齢加速状態によって判断される生物学的に高齢な人ほど、感染症関連入院と認知症発症との関連が強いことを示している。

 著者らは「感染症は、アルツハイマー病、血管性認知症、若年性認知症を含むすべての認知症リスクの増加と関連しており、表現型年齢加速は感染症と認知症の関連性をさらに強めている。APOEε4保有状態は、感染症と認知症の年齢層別関係および表現型年齢加速の調整効果の両方を修飾すると考えられる。今回の研究結果は、認知症予防のための潜在的な戦略として、感染予防と抗老化介入の重要性を強調するとともに、戦略設計の際には、APOEε4遺伝子保有状況と年齢層別化を考慮する必要があることを示唆している」としている。

(鷹野 敦夫)