2010年代後半以降、日本におけるクルミによるアナフィラキシーの発生率は急速に増加しており、とくに初回発症の幼児で顕著であることが明らかになった。世界的にクルミアレルギーの有病率が増加しているものの、クルミによるアナフィラキシーの発生動向や臨床的特徴については明らかになっていない。町田市民病院のYuna Iwashita氏らは、2011年から11年間の日本国内の小児救急外来におけるクルミによるアナフィラキシーの発生率の変化を評価し、患者の特性および症状について検討した。Pediatric Allergy and Immunology誌11月号掲載の報告。
本後ろ向き研究では、2011~21年に、日本国内の3施設の小児救急外来を受診した食物によるアナフィラキシー患者を対象とした。11年間における各原因食物の割合の変化は、コクラン・アーミテージ傾向検定を用いて評価した。患者背景および詳細な症状については、クルミによるアナフィラキシー患者(クルミ群)とその他の食物によるアナフィラキシー患者(他の食物群)で比較を行った。
主な結果は以下のとおり。
・食物によるアナフィラキシーで救急外来を受診した患者は計904例であった。
・原因食物の内訳では、クルミによるアナフィラキシーの割合が2011年の3.2%から2021年の26.1%へと増加した(p<0.0001)。
・その他の食物では有意な変化は認められなかった。
・クルミ群80例と他の食物群824例を比較すると、年齢の中央値は両群とも3.9歳であった(p=0.42)。
・原因食物に対するアレルギーの既往診断を受けていた患者の割合は、クルミ群では28.8%と、他の食物群の47.4%よりも低かった(p=0.006)。
・消化器症状は、他の食物群(55.9%)と比較してクルミ群(72.5%)でより多く認められた(p=0.004)。
(ケアネット 遊佐 なつみ)