これまでに報告された疫学研究によれば、食事は大腸がんリスクに寄与する主要な環境要因の1つとされている。とくにキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツなどのアブラナ科の野菜はポリフェノール、食物繊維、ビタミンCなどを豊富に含み、これらががん予防に寄与する可能性が示されていた。中国・The Second Clinical Medical School of Inner Mongolia University for the NationalitiesのBo Lai氏らは、アブラナ科の食物摂取量と大腸がん発症の関連についてメタ解析した。BMC Gastroenterology誌2025年8月11日号掲載の報告。
研究者らは5つのデータベース(PubMed、Scopus、Embase、Web of Science、Cochrane Library)で2025年6月28日まで、「Cruciferous Vegetable(CV:アブラナ科の野菜)」、「Colonic Neoplasms(結腸新生物)」(MeSH)、「Colon Cancer(結腸がん)」および関連するキーワードや同義語などを検索した。最終解析にはコホート研究7件、症例対照研究10件の計17件の研究(結腸がん症例:9万7,595例、全参加者:63万9,539例)が含まれた。
主な結果は以下のとおり。
・CV摂取量と結腸がんの発生には逆相関(統合オッズ比[OR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.72~0.90)が認められた。原著研究のOR値は1.0から0.6まで幅があった。
・CV摂取量の最少群と比較して、最多群では結腸がんの発生率が17%減少した(OR:0.83、95%CI:0.59~1.18)。
・CV摂取量と結腸がんリスクの相関は非線形だった。約20g/日からリスクの有意な減少が見られ、40g/日で低下傾向が頭打ちとなった。1g当たりの保護効果のピークは20~40 g/日で、60g/日を超えると大幅に減衰した。
・対象研究を地域別に見るとアジア(OR:0.77)と北米(OR:0.82)においてはCV摂取量と結腸がんリスクに有意な関連が見られた一方で、欧州(OR:0.94)では有意差がなかった。
・研究デザイン別では症例対照研究(OR:0.79)がコホート研究(OR:0.89)よりもリスク低減の度合いが大きかった。
研究者らは「本研究によれば、アブラナ科の野菜の摂取は結腸がんリスクを低下させる可能性がある。最大のリスク低減をもたらす最適な摂取量は、1日当たり40~60gであった」とまとめている。
(ケアネット 杉崎 真名)