非HIVニューモシスチス肺炎、全身性ステロイドの有用性は?

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/29

 

 非HIV患者におけるニューモシスチス肺炎は、死亡率が30~50%と高く予後不良である。HIV患者のニューモシスチス肺炎では、全身性ステロイドが有効とされるが、非HIV患者における有用性は明らかになっていない。そこで、フランス・Hopital Saint-LouisのVirginie Lemiale氏らの研究グループは、非HIVニューモシスチス肺炎に対する早期の全身性ステロイド追加の有用性を検討する無作為化比較試験を実施した。その結果、主要評価項目である28日死亡率に有意な改善はみられなかったものの、90日死亡率や侵襲的機械換気の使用率が低下した。本研究結果は、Lancet Respiratory Medicine誌オンライン版2025年7月10日号に掲載された。

 本試験は、フランスの27施設で実施された。対象は、急性呼吸不全を呈する18歳以上の非HIVニューモシスチス肺炎患者で、すでに抗菌薬による治療が開始されており、その治療期間が7日未満であった226例とした。対象患者を、メチルプレドニゾロンを21日間投与する群(ステロイド群:112例)、プラセボを投与する群(プラセボ群:114例)に1対1の割合で無作為に割り付けた。ステロイド群は、1~5日目はメチルプレドニゾロン30mgを1日2回、6~10日目は30mgを1日1回、11~21日目は20mgを1日1回投与した。主要評価項目は28日死亡率とし、副次評価項目は90日死亡率、侵襲的機械換気の使用、安全性などとした。解析対象はITT集団(ステロイド群107例、プラセボ群111例)とした。

 主な結果は以下のとおり。

・主要評価項目である28日死亡率は、ステロイド群21.5%、プラセボ群32.4%であったが、両群間に有意差はみられなかった(群間差:10.9%、95%信頼区間[CI]:-0.9~22.5、p=0.069)。
・90日死亡率は、ステロイド群28.0%、プラセボ群43.2%であり、ステロイド群が有意に低かった(ハザード比[HR]:0.59、95%CI:0.37~0.93、p=0.022)。
・無作為化時点で非挿管であった患者のうち、28日以内に侵襲的機械換気を要したのは、ステロイド群10.1%、プラセボ群26.1%であり、ステロイド群が有意に低かった(HR:0.36、95%CI:0.14~0.90、p=0.020)。
・2次感染(ステロイド群23.4%、プラセボ群34.2%)やインスリン需要増加(30.8%、22.5%)などの有害事象の発現率に、両群間で有意差は認められなかった。

 著者らは「非HIV患者におけるニューモシスチス肺炎に対する全身性ステロイドの追加により、28日死亡率の有意な改善は得られなかったが、有害事象の増加はみられず、90日死亡率や侵襲的機械換気の使用を低下させたことから、有用性が示唆された。全身性ステロイドの追加によってベネフィットが得られる集団や、最適な治療期間を明らかにするために、さらなる研究が求められる」と結論付けている。

(ケアネット 佐藤 亮)