アストラゼネカは2025年5月19日、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)について「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」の適応で、厚生労働省より承認を取得したことを発表した。EGFR遺伝子変異陽性の切除不能なStageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する分子標的薬では、本邦初の承認となる。これまで、切除不能なStageIIIのNSCLCにおいては、EGFR遺伝子変異の有無を問わず、根治的化学放射線療法(CRT)およびその後のデュルバルマブによる維持療法が標準治療とされていた1)。
本承認は、プラチナ製剤を含むCRT後に病勢進行のない、切除不能なStageIIIのNSCLC患者を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「LAURA試験」の結果2)に基づくものである。本試験において、オシメルチニブ群はプラセボ群と比較して有意に無増悪生存期間(PFS)が延長し(ハザード比:0.16、95%信頼区間:0.10~0.24、p<0.001)、PFS中央値はオシメルチニブ群39.1ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月であった。
<今回追加された「効能又は効果」および「効能又は効果に関連する注意」の主な記載>
・効能又は効果
EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法
・効能又は効果に関連する注意
<効能共通>
本剤の術前補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
<EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法>
根治的化学放射線療法後に病勢進行が認められていない患者を対象とすること。
なお、LAURA試験のオシメルチニブ群において、重篤な放射線肺臓炎の発現割合が高く、本剤との因果関係が否定できない重篤な放射線肺臓炎が複数例で認められていることから「7. 用法及び用量に関連する注意」「8. 重要な基本的注意」「9.1 合併症・既往歴等のある患者」「11.1 重大な副作用」の項に「放射線肺臓炎」に関連する注意事項が追記されている3)。
(ケアネット 佐藤 亮)