高血圧診断後の降圧薬開始、1ヵ月以内vs.1ヵ月以降

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/19

 

 未治療の成人高血圧患者において、診断後1ヵ月以内に降圧薬単剤療法を開始すると、それ以降に開始した場合と比較して、診断後6~30ヵ月までの血圧コントロールが良好であった。一方で、1ヵ月以内に単剤での降圧薬療法を開始したとしても、30%超の患者では血圧コントロールは不十分であることも示された。米国医師会のRobert B Barrett氏らによる後ろ向きコホート研究の結果が、Hypertension誌オンライン版2025年4月21日号に掲載された。

 診断および治療歴のない高血圧患者1万5,422例(平均年齢:56.0±14.8歳、18歳未満および85歳以上は除外、2019年1月~2023年1月に初回診断)が、5つの医療機関の後ろ向きコホートより抽出された。診断後最大42ヵ月までの期間において、血圧コントロール状況(<140/<90mmHg)およびコントロール不良時における降圧薬単剤療法の開始状況を経時的に評価した。初診時の血圧に対する降圧薬単剤療法開始のオッズを、人種、性別、および糖尿病の有無で層別化し、ロジスティック回帰モデルにより推定した。経時的な血圧コントロール達成状況については、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中央値は全体で24ヵ月であった。
・降圧薬単剤療法は、診断後1ヵ月で患者の約44%、6ヵ月で75%、1年で82%、2年で90%に実施されていた。
・診断後1ヵ月以内に降圧薬単剤療法を開始した患者とそれ以降に開始した患者の人口統計学的・臨床的特徴は、平均年齢53.3歳vs.58.2歳、男性が45.9% vs.43.5%、ベースラインの平均血圧は154.4(±12.5)/88.5(±11.5)mmHg vs.152.5(±12.5)/85.5(±11.8)mmHg、平均BMIはともに31.5kg/m2、糖尿病ありが19.5% vs.23.8%であった。
・診断後1ヵ月以内に降圧薬単剤療法を開始した患者では、それ以降に開始した患者と比較し、診断後6ヵ月時点で有意に高いコントロール率を示し(57.4% vs.47.5%、p<0.001)、30ヵ月まで維持されていた(66.8% vs.62.0%、p<0.001)。
・42ヵ月間の追跡期間中の血圧コントロール率は、診断後1ヵ月以内に降圧薬単剤療法を開始した患者では、それ以降に開始した患者と比較して19%高く(HR:1.19、95%信頼区間[CI]:1.13~1.25)、年齢、人種、性別、初回SBPで調整後も維持された(HR:1.21、95%CI:1.15~1.27)。
・高血圧診断後1ヵ月以内の降圧薬単剤療法開始によるベネフィットは、多変量補正後もコントロール閾値<130/<80mmHgで認められた(HR:1.14、95%CI:1.07~1.21)。

(ケアネット 遊佐 なつみ)