StageII/IIIのHR+HER2-乳がんの術後内分泌療法後、リアルワールドでの再発リスクと治療成績

提供元:ケアネット

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公開日:2025/04/16

 

 術後内分泌療法を受けたStageII/IIIのHR+HER2-早期乳がん患者における再発リスクをリアルワールドで検討した米国・Sarah Cannon Research InstituteのJoyce O'Shaughnessy氏らの後ろ向き研究の結果、リンパ節転移陰性患者も含め、再発リスクが依然として高いままであることが示された。Breast誌2025年6月号に掲載。

 本研究では、ConcertAI Patient360データベース(1995年1月~2021年4月)を用いて、手術を受け術後内分泌療法を受けた18歳以上のStageII/IIIのHR+HER2-早期乳がん患者を後ろ向きに解析した。再発リスクは、改良されたSTEEP基準による無浸潤疾患生存(iDFS)を用いて評価した。サブ解析で、術後内分泌療法として非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(NSAI)を投与された患者とタモキシフェンを投与された患者のiDFS、遠隔無病生存、全生存を評価した。なお、CDK4/6阻害薬については、アベマシクリブが術後補助療法に承認されたのが2021年10月であり、本解析のデータベースのカットオフ日以後のため、投与された患者はいなかった。

 主な結果は以下のとおり。

・全解析コホート(3,133例)において、iDFSイベントリスクは5年時点で26.1%であり、10年時点で45.0%に上昇した。
・StageIIの患者の5年時点および10年時点のiDFSイベントリスクは22.7%および40.5%、StageIIIの患者では40.4%および62.9%であった。また、リンパ節転移陰性患者では22.1%および36.9%、リンパ節転移陽性患者では28.9%および49.4%であった。
・サブ解析において、NSAI±卵巣機能抑制療法がタモキシフェン±卵巣機能抑制療法に比べてiDFSの改善が認められ(ハザード比:0.83、95%信頼区間:0.69~0.98、p=0.031)、この傾向は閉経状態に関係なくみられた。

 著者らは、「このリアルワールドエビデンス研究は、StageIIまたはIIIのHR+HER2-早期乳がん患者の再発リスクが、標準的な術後補助全身療法にもかかわらず、リンパ節転移陰性患者を含めて容認できないほど高いままであることを示しており、この患者集団に対する新たな治療戦略の開発を正当化する」と結論している。

(ケアネット 金沢 浩子)