子供も食事の早食いは肥満に関係する/大阪大

提供元:ケアネット

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公開日:2025/04/11

 

 「早食い」は太る原因といわれている。この食べる早さと肥満の相関は、子供にも当てはまるのだろうか。この課題に対し、大阪大学有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座の高阪 貴之氏らの研究グループは、わが国の小学生1,403人の咀嚼能力および咀嚼習慣と肥満との関連を検討した。その結果、早食いや咀嚼能力の低下は、男子で肥満と関連していた。この結果は、Journal of Dentistry誌2025年3月8日号のオンライン版に掲載された。

男子は早食い、満腹、噛む力が肥満に関係

 研究グループは、大阪市の9~10歳の児童1,403人を対象に、咀嚼習慣を質問紙で評価し、咀嚼能力は色変化するチューインガムを用いて測定した。肥満は、身長と体重に基づく過体重の割合で判定し、多変量ロジスティック回帰分析を行い、咀嚼習慣と咀嚼能力を説明変数とし、性別、DMFT指数、ヘルマン歯発育段階を調整した肥満のオッズ比を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・ロジスティック回帰分析では、すべての参加者において、肥満と性別(オッズ比[OR]=1.54、95%信頼区間[CI]:1.08~2.17 )、早食い(OR=1.73、95%CI:1.23~2.44 )、咀嚼能力低下(OR=1.50、95%CI:1.05~2.15)との間にそれぞれ有意な関連が認められた。
・男子では、早食い(OR=1.84、95%CI:1.16~2.92)、満腹(OR=1.59、95%CI:1.03~2.46)、咀嚼能力の低下(OR=1.63、95%CI:1.02~2.59)が肥満とそれぞれ有意に関連していた。
・女子では、有意に関連する変数はなかった。早食いと咀嚼能力の低下を組み合わせると、肥満と有意に関連し、両方の行動を示す男子で最も強いオッズ比が観察された(OR=3.00、 95%CI:1.49~6.07)。

 この結果から研究グループは、「9~10歳の児童において、早食い、口一杯の食事、および咀嚼能力の低下は、とくに男子で肥満と関連していた。さらに、肥満との関連は、早食いと咀嚼能力の低下を組み合わせた場合に高かった」と結論付けている。

(ケアネット 稲川 進)