25年度の「骨太の方針」に要望する3つの事項/日医

提供元:ケアネット

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公開日:2025/03/13

 

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例の記者会見を3月5日に開催した。会見では、先般衆議院を通過した令和7(2025)年度の予算案について内容に言及するとともに、5月31日の「世界禁煙デー」での取り組みなどが説明された。

全産業との差が広がる医療業の賃金格差は問題

 はじめに松本氏が、「令和7年度予算案の衆議院通過を受けて」をテーマに、今回の予算内容や医療全般、医師会とのかかわり、今後さらに要望していくべき事項などを説明した。

 今回の予算案には、医療提供体制の整備・強化に必要な予算として、「入院時食事療養費の1食当たり20円引上げ」、「周産期・救急医療体制などの充実」、「地域医療構想・医師偏在対策・かかりつけ医機能などの推進のための支援」などが盛り込まれたと評価し、「かかりつけ医機能の推進」についても、これまで議論した方向に進んでいるとの認識を示した。

 また、診療報酬改定にも触れ、今年度は非改定年であるが、「令和6年の診療報酬改定でベースアップ評価料が新設されたものの、他の産業の賃上げに、まったく追い付いていないこと」、「2012年を100とした場合、2024年の全産業と医療業の賃金の伸びには5%以上の開きがあり、時間を追うごとにその差は開いている」と指摘し、「まずは補助金での迅速な対応が必要だが、令和8年度診療報酬改定の前に、期中改定も視野に入れて対応していく必要がある」と主張した。

 次に「高額療養費制度」について、「本制度は、高額治療を要する際に経済的な不安に対処するために非常に重要な制度であり、維持するためにも見直しが必要なことに理解を示しつつも、患者さんに過度な負担を強いることがないよう、一貫して丁寧な制度設計を求めてきた」と述べ、日本医師会が従来から患者の自己負担の軽減を主張し続けてきたこと、限度額の引き上げで受診控えなどを招来しないように、丁寧な議論を重ねることを求めてきたことを改めて強調した。

 おわりに松本氏は、「骨太の方針2025」にも言及し、その取りまとめに向けては、(1)「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」社会保障予算の目安対応の廃止(財政フレームの見直しが必要など)、(2)診療報酬などについて、賃金・物価の上昇に応じて適切に対応する新たな仕組みの導入、(3)小児医療・周産期体制の強力な方策の検討という3つの対応が必要だと語った。

すすめよう禁煙!コンテストで川柳募集中

 続いて広報担当常任理事の黒瀨 巌氏(医療法人社団慶洋会グループ 理事長)が、5月31日の「世界禁煙デー」に開催されるイベントなどの説明を行った。

 イベントの目的は、「毎年19万人が喫煙に関連する病気で亡くなっていると推定され、喫煙者本人だけでなく、周囲の人も副流煙で被害を受けている。とくに若年層では、電子たばこのような新型たばこについて、健康被害が少ないとの誤解から使用が増加傾向にある。そこで、新型たばこを含む喫煙による健康への影響や受動喫煙防止の必要性について啓発を行うもの」である。5月31日~6月6日を「禁煙週間」として、全国各地でライトアップや啓発活動が行われる。東京では、日本医師会と東京都医師会の主催で下記のイベントが開催される。

【イベント概要】
開催日:5月31日(土)「世界禁煙デー」
場所:東京タワー メインデッキ1階(展望台)
内容:「すすめよう禁煙!川柳コンテスト」の実施、中学生への新型たばこの害に関する勉強会、点灯式など開催。「すすめよう禁煙!川柳コンテスト」では、一般部門(高校生以上)とジュニア部門(中学生以下)に分かれ、入賞者には賞金や景品が贈呈される。募集締切は4月13日(日)まで。詳細は参考のリンクを参照のこと。

(ケアネット 稲川 進)

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