日本人高齢者、高感度CRPと認知症が関連

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/04/09

 

 血清高感度C反応性蛋白(CRP)とアルツハイマー病などの認知症との関連についての報告は一貫していない。今回、愛媛大学の立花 亜由美氏らが全国8地域の高齢者約1万人を調査したところ、血清高感度CRP値の上昇が認知症全体やアルツハイマー病と関連し、側頭皮質萎縮のリスクの増加とも関連することが示唆された。Scientifc Reports誌2024年3月28日号に掲載。

 本研究(長寿社会の実現を目指した大規模認知症コホート研究:JPSC-AD)では、全国8地域(青森県弘前市、岩手県矢巾町、石川県中島町、東京都荒川区、島根県海士町、愛媛県中山町、福岡県久山町、熊本県荒尾市)における65歳以上の地域住民1万1,957人を募集し、除外基準の適用後、血液検査と健康関連検査を受けた1万85人について解析した。血清高感度CRP値を臨床的カットオフ値に従って分類し、各血清高感度CRP値について認知症全体およびサブタイプの存在に関するオッズ比(OR)を算出した。さらに、脳MRIを受けた8,614人のデータを用いて、血清高感度CRPと脳容積の関心領域との関連を共分散分析によって調べた。

 主な結果は以下のとおり。

・多変量調整後、血清高感度CRP 1.0mg/L未満と比較したORは、認知症全体において、1.0~1.9mg/L、2.0~2.9mg/L、3.0mg/L以上で、順に1.04(95%信頼区間:0.76~1.43)、1.68(同:1.08~2.61)、1.51(同:1.08~2.11)であった。 アルツハイマー病では、順に0.72(同:0.48~1.08)、1.76(同:1.08~2.89)、1.61(同:1.11~2.35)であった。
・認知症全体およびアルツハイマー病の有病率の多変量調整ORは、血清高感度CRP値の増加と共に有意に増加した(傾向のpは順に<0.001、0.001)
・多変量調整後の側頭皮質容積/推定総頭蓋内容積比は、血清高感度CRP値の上昇と共に有意に減少した(1.0mg/L未満:4.28%、1.0~1.9mg/L:4.27%、2.0~2.9mg/L:4.29%、3.0mg/L以上:4.21%、傾向のp=0.004)。

 この結果から、著者らは「地域在住の日本人高齢者集団において、血清高感度CRP値の上昇は、認知症、とくにアルツハイマー病の存在および側頭皮質の萎縮のリスクの増加と関連することを示唆している」とまとめた。

(ケアネット 金沢 浩子)