薬不足をリアルに感じている患者は2割/アイスタット

提供元:ケアネット

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公開日:2024/03/07

 

 近年では、都市部で24時間営業の薬局が出現したり、インターネットで市販薬が購入できたりと市販薬購入のハードルはさらに下がってきた。また、不急ではない病気やけがでは、医療機関に頼らず市販薬で様子をみるという人も多いのではないだろうか。

 こうした「薬をもらうなら病医院へ」の常識が変わりつつある今、薬不足、オーバードーズなど薬に関する深刻な問題も顕在する。また、一般人のジェネリック医薬品(後発品)の服用状況や飲み切らなかった処方箋薬の扱いなどの実態を知るためにアイスタットは、薬に関するアンケート調査を2016年5月の第1回に続き、今回実施した。

調査概要

形式:Webアンケート形式
調査期間:2024年2月15日
回答者:セルフ型アンケートツールFreeasyに登録している20~69歳の300人

アンケート概要

・最近1年間で処方箋薬を服用した人は6割近く。年代が高くなるほど服用率が多い
・最近1年間で市販薬を服用した人は6割を超える。40代の服用が最多
・最近1年間の薬の服用割合は、「処方箋薬」より「市販薬」の方が多い
・最近1年間で「処方箋薬」「市販薬」の両方を服用している「併用型」の人は4割
・日本国内で薬不足が深刻な問題になっている中、実際に薬不足を感じている人は2割
・処方箋薬を処方された人(280人)のうち、飲み切らない人は約8割
 飲み切らない人(218人)のうち、再発時に残った薬を服用する人は8割、捨てる人は2割
 残った薬の使用期限は、「処方日から1年未満であれば再発時に服用する」が最多
・ジェネリック医薬品を拒否する人は1割弱
・オーバードーズについて「問題である」と思っている人は7割
・37.5℃以上の発熱ではじめにすること第1位は「市販薬で様子をみる」

基本ジェネリック医薬品でよいとする人は7割超

 質問1で「最近1年間で、病医院で処方された薬(処方箋薬)をどのくらいの頻度で服用したか(内服薬、外服薬を問わず)」(単回答)について聞いたところ、「服用したことはない」が42.3%、「毎日」が34.0%、「体調が悪いとき、体調を改善したいときのみ」が14.0%という順で多かった。この回答を服用の有無別にみると、最近1年間で処方箋薬の服用がある人は6割近くいた。年代別では、服用の有無で「ある」と回答した人は「60代」で最も多く、年代が高くなるにつれ服用率が高い傾向がみられた。

 質問2で「最近1年間で、ドラッグストアなどの店頭で購入した薬をどのくらいの頻度で服用したか(内服薬、外服薬を問わず)」(単回答)について聞いたところ、「体調が悪いとき、体調を改善したいときのみ」が48.7%、「服用したことはない」が39.0%、「定期的に」が7.3%の順で多かった。服用の有無別にみると、最近1年間で市販薬を服用した人は6割を超えていたほか、年代別で服用の有無で「ある」を回答した人は「40代」で最も多かった。

 質問3で「最近1年間のうち、『薬不足』を感じたことがあるか」(単回答)について聞いたところ、「薬不足を感じなかった」が82.3%、「薬不足を感じた」が17.7%だった。薬を必要とする人(205人)のみを抽出し、解析した結果、「薬不足を感じなかった」が79.5%、「薬不足を感じた」は20.5%だった。ほぼ全体と同様の回答動向だった。なお、薬不足を感じた人の内訳は、「ドラッグストアなどの店頭のみ感じた」が7.3%、「病医院の処方箋薬のみ感じた」が6.8%、「両方で感じた」が6.3%だった。

 質問4で「薬不足を感じた」と回答した53人に「最近1年間のうち、『薬不足』を感じた理由」(複数回答)について聞いたところ、「ドラッグストアや薬局でいつも購入している薬がなく、他の薬を購入した」が37.7%、「病医院でいつも服用している薬がなく、やむを得ず別の薬を処方された」が32.1%、「病医院で処方される薬の個数が減少したと感じた」「ニュースや身近の人の話を聞いて」が同率で22.6%と多かった。

 質問5で「医療機関や薬局で処方された飲み薬をすべて服用しなかった場合、その薬はどうしているか」(単回答)について2群に分けて聞いた。はじめに「今まで飲み薬を処方されたことはない」と回答した20人を除いた280人を対象に処方箋薬の「飲み切り状況」を聞くと、処方箋薬を「飲み切らない人」が77.9%、「今まで残したことはない」が22.1%で、処方箋薬を飲み切らない人は約8割だった。次に、処方箋薬を飲み切らない人(218人)への同じ質問では、再発時に残った薬を服用する人は8割、捨てる人は2割だった。さらに残った薬の使用期限を調べてみると、「処方日から1年未満であれば再発時に服用する」が27.5%、「処方日から3年以上でも服用する」が17.0%と多かった。

 質問6で「医療機関や薬局でジェネリック医薬品(後発品)を薦められた場合の回答」(単回答)について聞いたところ、「常に問題ないと答える」が49.7%、「自らお願いする」が23.7%、「どの疾患の治療薬かに応じて、選択有無を決める」が20.3%と多かった。

 質問7で「『オーバードーズ』(過剰摂取)についてどう思うか」(単回答)について聞いたところ、「問題である」が74.7%で、「どちらともいえない」が15.0%、「問題であると思わない」が10.3%であった。年代別の解析では、「問題である」と回答した人は「50代」で最も多かった一方、「問題であると思わない」と回答した人は「20代/30代」の若者世代で最も多かった。

 質問8で「37.5℃以上の発熱をした場合、はじめにすること」(単回答)について聞いたところ、「市販の風邪薬・解熱剤で様子をみる/対処する」が43.3%、「薬や病医院の受診に頼らず、安静にして様子をみる/対処する」が29.3%、「すぐに、発熱外来を予約/受診する」が12.7%で多かった。年代別では、「20代/30代」に「自己検査キット」「発熱外来へ受診」が多く、「50代」に「市販薬」「処方箋薬の残り」が、「60代」に「薬や受診に頼らず、安静にする」という回答が多かった。

 質問9で発熱しても「すぐに発熱外来に行かない人(262名)」に「37.5℃以上の発熱をした場合、『すぐに発熱外来を受診しない』理由」(複数回答)について聞いたところ、「高熱でなければ、病医院に行く必要性を感じないから」が40.5%、「病医院の通院・診療が面倒だから」が27.9%、「費用がかかるから」が21.8%で多かった。

処方箋薬と市販薬で服用が多いのは

 アンケ―ト結果から「処方箋薬」と「市販薬」の服用状況を解析したところ、「毎日」「定期的に」の服用割合は「処方箋薬」の方が多く、「体調が悪いとき、体調を改善したいときのみ」の服用割合は「市販薬」の方が多かった。一方、「服用したことはない」を除いた合計では、「処方箋薬」が57.7%、「市販薬」が61.0%で、「処方箋薬」より「市販薬」の方が多いことが判明した。

 アンケ―ト結果から「薬の服用タイプ」を集計したところ、「処方箋薬」「市販薬」の両方を服用している「併用型」の人は43.0%、病医院を受診せずに「市販薬のみ」で対処する人は18.0%、「処方箋薬のみ」で対処する人は14.7%、「服用なし」の人は24.3%であり、「併用型」が最も多かった。

(ケアネット 稲川 進)