中年期のタンパク質摂取が多いほど、健康寿命が延びる

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/02

 

 世界中で高齢化が進む中、健康寿命を延ばすことが求められており、栄養はその中の重要な要素である。中でもタンパク質は身体の健康維持に大きな役割を果たしているが、中年期にタンパク質を多く摂取した人ほど、疾病なく健康的に加齢する可能性があることが新たな研究でわかった。米国・タフツ大学のAndres V. Ardisson Korat氏らによる本研究の結果はThe American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2024年1月17日号に掲載された。

 研究者らは、Nurses' Health Study(NHS)コホートの女性参加者を対象とし、登録時の年齢が30~55歳の12万1,700人に対し、ベースライン時およびその後2年ごとに追跡調査を実施した。初回調査の回答に不備がなく、ベースライン時に該当疾患のない4万8,762人が対象となった。

 調査票から総タンパク質、動物性タンパク質、乳製品タンパク質(動物性タンパク質のサブセット)、植物性タンパク質の摂取量を調べた。「健康的な加齢」は、11の主要な慢性疾患がなく、精神状態が良好で、認知機能または身体機能のいずれにも障害がないことと定義した。ライフスタイル、人口統計学、健康状態を調整した多変量ロジスティック回帰を用いて、健康的な加齢に関連するタンパク質摂取量のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン時の平均(SD)年齢は48.6(6.3)歳、38.6%がBMI値25以上、22.9%が現在喫煙者、88.2%が既婚者であった。
・総タンパク質摂取量の平均値(エネルギー百分率)は18.3%であり、内訳は動物性タンパク質13.3%(うち乳製品タンパク質3.6%)、植物性タンパク質4.9%であった。
・3,721/4万8,762人(7.6%)が健康的な加齢の定義に合致した。タンパク質の摂取は、健康的な加齢のORと有意に関連していた。エネルギー3%増加あたりの健康的な加齢のORは、総タンパク質1.05(95%CI:1.01~1.10)、動物性タンパク質1.07(95%CI:1.02~1.11)、乳製品タンパク質1.14(95%CI:1.06~1.23)、植物性タンパク質1.38(95%CI:1.24~1.54)であった。
・植物性タンパク質の摂取は、身体機能の制限がないことや精神状態が良好であることのOR上昇とも関連していた。動物性または乳製品タンパク質、炭水化物、または脂肪を植物性タンパク質に同等のカロリーで置き換えた場合、健康的な加齢との有意な正の関連が観察された(3%のエネルギーを植物性タンパク質に置き換えた場合のOR:1.22~1.58)。
・主な植物性タンパク源は、パン、野菜、果物、ピザ、シリアル、焼き菓子、マッシュポテト、ナッツ類、豆類、ピーナッツバター、パスタであった。

 著者らは、女性看護師の大規模コホートにおいて、中年期の食事からのタンパク質摂取、とくに植物性タンパク質摂取は、健康的な加齢の高いORおよび健康状態のいくつかの領域と関連しているようだ、と結論付けている。

(ケアネット 杉崎 真名)