長期服用でCVD死亡率を高める降圧薬は?~ALLHAT試験2次解析

提供元:ケアネット

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公開日:2023/12/15

 

 米国・テキサス大学ヒューストン健康科学センターのJose-Miguel Yamal氏らは降圧薬による長期試験後のリスクを判定するため、ALLHAT試験の2次解析を実施。その結果、心血管疾患(CVD)の死亡率は全3グループ(サイアザイド系利尿薬[以下、利尿薬]、カルシウムチャネル拮抗薬[CCB]、アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬)で同様であることが明らかになった。なお、ACE阻害薬は利尿薬と比較して脳卒中リスクを11%増加させた。JAMA Network Open誌12月1日号掲載の報告。

 本研究は冠動脈疾患(CHD)の危険因子を持つ高血圧症の成人集団を利尿薬、CCB、ACE阻害薬のいずれか3グループに無作為に割り付けたランダム化比較試験のALLHAT試験を2次解析したもの。試験実施期間のうち1994年2月23日~2017年12月31日の最長23年間を追跡し、統計分析は2022年1月~2023年10月に行われた。1次エンドポイントはCVDによる死亡率。2次エンドポイントは全死因死亡、致死性/非致死性(罹患)CVDの複合、CHD、脳卒中、心不全、末期腎不全、がんによる死亡率や罹患率の複合。

 主な結果は以下のとおり。

・本調査は55歳以上の3万3,357例が対象となった。
・全死因死亡は3万2,804例(平均年齢±SD:66.9±7.7歳、男性:1万7,411例[53.1%])を利尿薬(1万5,002例)、CCB(8,898例)、ACE阻害薬(8,904例)のいずれかにランダムに割り付けて調査した。
・また、致死性/非致死性CVDは2万2,754例(平均年齢±SD:68.7±7.2歳、男性:9,982 例[43.9%])を利尿薬(1万414例)、CCB(6,191例)、ACE阻害薬(6,149例)に割り付けて調査した。
・平均追跡期間±SDは13.7±6.7年で、最長は23.9年だった。
・ランダム化23年後の100人当たりのCVD死亡率は、利尿薬群:23.7、CCB群:21.6、ACE阻害薬群:23.8であった(CCB vs.利尿薬の調整ハザード比[AHR]:0.97[95%信頼区間[CI]:0.89~1.05]、ACE阻害薬vs.利尿薬のAHR:1.06[95%CI:0.97~1.15])。
・2次エンドポイントの長期リスクは3グループ間でほぼ同様で、利尿薬群と比較してACE阻害薬群では脳卒中死亡リスクが19%増加(AHR:1.19[95%CI:1.03~1.37]、致死的/非致死的脳卒中入院の複合リスクが11%増加した(AHR:1.11[95%CI:1.03~1.20])。

(ケアネット 土井 舞子)

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