適度な飲酒量は存在する?肥満に対する用量依存的影響を検討

提供元:ケアネット

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公開日:2023/11/29

 

 適量の飲酒の健康への影響についてはまだよくわかっていない。今回、肥満および2型糖尿病に対する飲酒の用量依存的影響についてバイアスを減らして評価するために、カナダ・トロント大学のTianyuan Lu氏らがメンデルランダム化法を用いて検討した。その結果、観察研究での関連とは異なり、適度な飲酒に肥満や2型糖尿病の予防効果はない可能性が示された。さらに、大量の飲酒は肥満度を増加させるだけでなく、2型糖尿病リスクを増加させる可能性があることが示唆された。The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌2023年12月号に掲載。

 メンデルランダム化法は、観察研究における交絡や逆因果によるバイアスを軽減し、飲酒の潜在的な因果的役割を評価するのに役立つ。本研究では、UK Biobankに登録されたヨーロッパ系血統の40万8,540人について、最初に自己申告による飲酒頻度と10項目の身体測定値、肥満、2型糖尿病との関連を検証した。その後、全集団と飲酒頻度で層別化した集団でメンデルランダム化法を用いて解析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・週14杯以上の飲酒者において、遺伝学的に予測される飲酒頻度が週1杯増加すると、脂肪量は0.36kg(SD:0.03kg)増加し、肥満のオッズは1.08倍(95%信頼区間[CI]:1.06~1.10)、2型糖尿病のオッズは1.10倍(95%CI:1.06~1.13)と増加した。これらの関連は男性よりも女性で強かった。
・週7杯以下の飲酒者において、遺伝学的に予測される飲酒頻度の増加と健康アウトカムの改善に関連を支持するエビデンスは示されなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)