早期アルツハイマー病患者のQOLに対するレカネマブの有用性~第III相試験

提供元:ケアネット

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公開日:2023/11/16

 

 レカネマブは、アミロイドβプロトフィブリルに高い親和性を示すヒト化IgG1モノクローナル抗体である。第III相試験において、レカネマブは早期アルツハイマー病のアミロイドマーカーを減少させ、18ヵ月時点での認知および機能の臨床的エンドポイントの低下を軽減することが示唆されている。カナダ・Toronto Memory ProgramのSharon Cohen氏らは、Clarity AD試験での健康関連QOL(HRQoL)の結果について、評価を行った。その結果、レカネマブは、HRQoLの相対的な維持および介護者の負担軽減と関連しており、さまざまなQOL尺度においてベネフィットが確認された。The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease誌2023年号の報告。

 Clarity AD試験は、18ヵ月にわたる多施設共同二重盲検の第III相試験である。参加者は、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病による早期認知症と診断され、PETまたは脳脊髄液検査において脳アミロイド蓄積が認められた50~90歳。参加者には、プラセボまたはレカネマブ10mg/kg IVの隔週投与を行った。HRQoLは、European Quality of Life-5 Dimensions(EQ-5D-5L:患者)およびQuality of Life in AD(QOL-AD:患者および介護者)を用いて、ベースライン時および6ヵ月ごとに測定した。介護者に対してZarit Burden Interview(ZBI)を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・登録患者数は1,795例(レカネマブ群:898例、プラセボ群:897例)。
・18ヵ月時点での対象患者におけるHRQoLは、ベースラインからの調整平均変化の低下がEQ-5D-5Lで49%、QOL-ADで56%減少した。
・介護者におけるQOL-ADの低下は、23%減少した。
・18ヵ月時点のベースラインからの平均変化調整後のZBIでは、介護者の負担増が38%減少した。
・HRQoLの検査項目およびディメンションについても、レカネマブのベネフィットが示唆された。

 著者らは「レカネマブは、これまで報告されている認知、機能、疾患進行、バイオマーカーに関連する尺度に対するベネフィットと合わせて、治療患者、その介護者および社会に対して、さらなるベネフィットをもたらす可能性がある」としている。

(鷹野 敦夫)