HER3-DXd、EGFR-TKIおよび化学療法耐性のEGFR陽性非小細胞肺がんに良好な抗腫瘍活性示す(HERTHENA-Lung01)/WCLC2023

提供元:ケアネット

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公開日:2023/10/02

 

 抗HER3抗体薬物複合体patritumab deruxtecan(HER3-DXd)のEGFR-TKI、プラチナ化学療法耐性のEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する有効性が発表された。

 EGFR‐TKIはEGFR変異のある進行期NSCLCの標準治療であるが、最終的に耐性が発現する。EGFR‐TKI耐性後はプラチナベースの化学療法が用いられるが、その効果は限定的である。

 HER3を標的とした抗体薬物複合体(ADC)であるHER3-DXdは、第I相結果でEGFR‐TKIに対する多様な耐性機構を持つEGFR変異陽性NSCLCにおいて、管理可能な安全性と抗腫瘍活性が示されている。

 世界肺癌学会(WCLC2023)では、EGFR‐TKI療法およびプラチナ化学療法後のEGFR変異陽性NSCLC患者に対する、HER3-DXdの第II相HERTHENA-Lung01試験の結果を、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのHelena A. Yu氏が発表した。

対象:既治療の進行期EGFR変異陽性NSCLC患者(無症状の脳転移患者も含む)
介入:HER3-DXd固定用量(5.6mg/kg)3週ごと(226例)、HER3-DXd用量漸増3週ごと(51例)
評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)による確定奏効率(confirmed ORR)
[副次評価項目]BICRによる奏効期間(DOR)
今回の発表は、固定用量群の有効性と安全性である。

 主な結果は以下のとおり。

・有効性追跡期間中央値は18.9ヵ月、安全性解析対象集団の治療期間中央値は5.5ヵ月であった。
・ベースラインで、脳転移例32%、肝転移例33%が含まれた。
・前治療歴(ライン数)は2ラインが26%、2ライン超が73%であった。
・confirmed ORRは、全症例で29.8%、第3世代EGFR-TKI耐性例で29.2%、病勢コントロール率(DCR)はそれぞれ73.8%と72.7%であった。
・DOR中央値は、全症例、第3世代EGFR-TKI耐性例ともに6.4ヵ月であった。
・PFS中央値は、全症例、第3世代EGFR-TKI耐性例ともに5.5ヵ月であった。
・OS中央値は、全症例、第3世代EGFR-TKI耐性例ともに11.9ヵ月であった。
・頭蓋内confirmed ORRは33.3%、DCRは76.7%であった。
・治療下で発現した有害事象(TEAE)の発現は全Gradeで99.6%(治療中断7.1%、減量21.3%)、Grade3以上は64.9%であった。頻度の高いTEAEは悪心(66%)、血小板減少(44%)、食欲不振(42%)などであった。
・治療関連ILDの発現は5.3%であった。

 Yu氏らは、HER3-DXdはEGFR‐TKIおよびプラチナベース化学療法で進行したEGFR変異NSCLC患者にとって有望な治療法であると結論付けた。

(ケアネット 細田 雅之)

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