感染対策義務のない学会参加、コロナ感染はどれくらい?

提供元:ケアネット

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公開日:2023/06/26

 

 対面式の学術集会参加後の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染率を調べた報告はあるが1,2)、オミクロン株流行期に開催された感染対策義務のない学術集会参加後のSARS-CoV-2感染率は報告されていない。そこで、Saarland University Medical CenterのAlaa Din Abdin氏らは、オミクロン株流行期に感染対策義務なしで開催された、ドイツ眼科学会年次総会2022の参加者4,463人を対象として、学術集会参加後のSARS-CoV-2感染率と感染に関連する因子を検討した。その結果、調査対象者の8%が学術集会後にSARS-CoV-2検査陽性となり、ほかの研究1,2)で報告されている割合(0~1.7%)よりも高かった。また、過去にSARS-CoV-2感染歴があると学術集会での感染は少なく、民泊利用者は感染が多かった。本研究結果は、JAMA Network Open誌2023年6月13日号のリサーチレターで報告された。

 ドイツ眼科学会年次総会2022は、2022年9月28日~10月2日にドイツ・ベルリンで開催された。参加にあたり、SARS-CoV-2感染の自己検査やワクチン接種、マスク着用などは求められなかった。学術集会後の2022年10月22日に、参加者にオンラインでアンケートを送付し、SARS-CoV-2検査陽性率、SARS-CoV-2感染に関連する因子を検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・学術集会参加者4,463人のうち、38.2%(1,709人)がアンケートに回答し、有効回答率は30.4%(1,355人)であった。
・学術集会後にSARS-CoV-2陽性になったと回答したのは8.0%(109人)であった。
・SARS-CoV-2検査を実施した786人の検査実施時期は、学術集会後1週間以内が88%(690人)であった。
・SARS-CoV-2感染歴ありは、学術集会後にSARS-CoV-2陽性になった参加者の17.4%(19人)であったのに対し、陰性の参加者では62.5%(423人)であり、学術集会後のSARS-CoV-2陰性と関連していた(p<0.001)。
・民泊の利用は、学術集会後のSARS-CoV-2検査陽性と関連していた(p=0.01)。
・ワクチン接種者(2回以上の接種)の割合は97.8%(1,342人)であり、ワクチン接種歴は、学術集会後のSARS-CoV-2検査結果と関連がなかった。
・移動手段、移動中・学術集会中のマスク着用、学術集会への参加期間は、いずれも学術集会後のSARS-CoV-2検査結果と関連がなかった。

(ケアネット 佐藤 亮)