五月病の原因は人間関係がトップ/アイスタット

学校や会社が始まり、緊張した4月が過ぎ、大型連休が終わったころに出現するのがいわゆる「五月病」*である。
*五月病:医学的な病名ではなく、「5月の連休後に憂鬱になる」「なんとなく体調が悪い」「会社に行きたくない」などの軽いうつ的な気分に見舞われる症状のこと
新入生や新社会人に多いとされるこの五月病について、どの程度経験があり、原因は何か、メンタルとの関係はあるのかなどについて、株式会社アイスタットは、5月11日にアンケートを実施した。
アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~59歳の有職者300人が対象。
■調査概要
形式:WEBアンケート方式
期日:2022年5月11日
対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(20~59歳/全国の有職者)
■アンケートの概要
・五月病の「経験あり」は53%、「経験なし」は47%。毎年、感じている人は10.7%と約1割だった
・五月病の原因は、第1位「人間関係」が37.1%、第2位「GW」が28.9%
・五月病の症状は、第1位「気分が落ち込む、元気がなくなる」が53.5%
・メンタルが「強い」「普通」と回答した人は、「五月病の経験なし」の割合が多かった
・五月病の経験が「ある人」と「ない人」の性格の主な違いは、「一人で抱え込む」
・仕事の取り組み方が「意欲的である」と回答した人は、「五月病の経験あり」が多かった
・5月以外の月でも五月病のような症状が起きている人は、「五月病の経験あり」も多かった
・血液型「A型」「B型」は「五月病の経験なし」が、「O型」「AB型」は「五月病の経験あり」が多かった
「一人で抱え込む」と五月病になる恐れ
質問1で「今までに『五月病かも』と感じたことはあるか」(単一回答)を聞いたところ、「今までに感じたことは一度もない」が47.0%で1番多く、「今までに感じたことは数回」が22.7%、「毎年ではないが、感じることは多い」が19.7%と続いた。また、「毎年、感じている」との回答も10.7%あり、全体で「経験あり」が53%、「経験なし」が47%とわずかに「経験あり」が上回った。なお、「経験あり」を回答した人の属性では、「20・30代」「男性」「未婚」で多かった。質問2では、質問1で「経験あり」と回答した159人に「原因に心あたりがあるか」(複数回答)を聞いたところ、「人間関係」が37.1%で1番多く、「GW(長期休暇)」が28.9%、「気候・気温・湿度」が27.7%の順で多かった。多くは自分の周りの環境変化に関係する内容だったが、「コロナ禍」という回答も9.4%あった。
質問3では、同様に質問1で「経験あり」と回答した159人に「どのような症状があったか」(複数回答)を聞いたところ、「気分が落ち込む、元気がなくなる」が53.5%で1番多く、「無力感、倦怠感、気だるさ、やる気が出ない」が49.7%、「疲れやすい」が35.2%の順で多かった。また、「頭痛、腰痛、首痛、肩こり」が21.4%、「動悸、めまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震え」が12.6%、「胃痛・腹痛」が10.1%と器質的な症状を呈する回答者も見受けられた。
質問4で「メンタル(ハート)レベルについて、あてはまるもの」(単一回答)を聞いたところ、「普通」が39.3%で1番多く、「やや弱い」が23.0%、「非常に弱い」が18.0%、「やや強い」が16.0%、「非常に強い」が3.7%という順だった。「五月病」の経験の有無別にみると、メンタルが「強い」「普通」と回答した人は「五月病の経験なし」の割合が多く、「弱い」と回答した人は「五月病の経験あり」の割合が多く、一般的な予想の範囲だった。
質問5で「あなたの性格について」(複数回答)を聞いたところ、「まじめ」が38.0%、「一人で抱え込む」が30.7%、「几帳面」が30.3%の順で多かった。また、五月病の経験が「ある人」と「ない人」の性格の違いは何かを調べたところ、両方の差分より、第1位は「一人で抱え込む」の19.1ポイント、第2位は「ストレス発散が上手でない」の16.1ポイント、第3位は「几帳面」の11.7ポイントの順番だった。
質問6で「日頃の仕事への取り組み方」(単一回答)を聞いたところ、「まあまあ意欲をもって取り組もうとしている」が46.0%で1番多く、「あまり意欲をもって取り組もうとはしていない」が28.3%、「まったく意欲をもって取り組もうとはしていない」が15.0%、「とても意欲をもって取り組もうとしている」が10.7%だった。全体でみると「意欲的である」は56.7%、「意欲的でない」は43.3%で、「意欲的である」の回答がやや上回った。このうち「五月病」の経験の有無別にみると、仕事の取り組み方が「意欲的である」と回答した人は「五月病の経験あり」の割合が多く、「意欲的でない」と回答した人は「五月病の経験なし」の割合が多い結果だった。
質問7で「5月以外の月に五月病のような症状が起きるか」(単一回答)を聞いたところ、「どちらかといえばある」が33.0%で1番多く、「どちらかといえばない」が30.7%、「まったくない」が26.7%、「常にある」が9.7%だった。全体でみると、「ない」が57.3%、「ある」が42.7%で、「ない」との回答が約6割だった。また、「五月病」の経験有の31.4%が5月のみの心身の不調を回答していたことから、いわゆる「五月病」の人は全体の約3割程度と予想された。
質問8で「五月病」との関連を探るために「血液型」(単一回答)を聞いたところ、
「A型」(34.3%)、「O型」(26.7%)、「B型」(22.3%)、「AB型」(11.7%)、「わからない」(5.0%)の分布であり、五月病の経験の有無別に解析した。その結果、血液型が「A型」「B型」と回答した人ほど「五月病の経験なし」の割合が多く、「O型」「AB型」と回答した人ほど「五月病の経験あり」の割合が多い結果だった。
なお、これらのアンケートの解析では、統計のさまざまな手法が使用され、そのノウハウも本事例を使い調査票に記載されている。今月のレベルアップとして「目的変数に対する影響度を調べる」と題し、「クラメール連関係数」について解説しているので、ご一読いただきたい。
(ケアネット 稲川 進)
参考文献・参考サイトはこちら
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