強迫症患者における統合失調症への診断変更の可能性

提供元:ケアネット

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公開日:2022/04/20

 

 いくつかのエビデンスにおいて、強迫症と統合失調症との関係が報告されている。しかし、強迫症から統合失調症への診断変更を予測する可能性のある因子は、明らかになっていない。この予測因子を特定するため、台湾・国立陽明交通大学のMu-Hong Chen氏らが、検討を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2022年3月24日号の報告。

 2001~10年に強迫症(ICD-9-CM:300.3)と診断された青少年および成人3万5,255例を対象とし、2011年末まで、新たに統合失調症(同:295)と診断されているかを特定するフォローアップ調査を行った。発生率の推定にはカプランマイヤー法を用い、予測因子の有意性を評価するためCox回帰を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・11年間のフォローアップ期間中における、強迫症から統合失調症への粗累積進行率は6%、推定進行率は7.80%であった。
・強迫症から統合失調症への診断変更の可能性を上昇させる因子は、以下のとおりであった。
 ●男性(ハザード比:1.23)
 ●肥満(同:1.77)
 ●自閉スペクトラム症(同:1.69)
 ●双極性障害(同:1.69)
 ●心的外傷後ストレス障害(同:1.65)
 ●クラスターAパーソナリティ障害(同:2.50)
 ●統合失調症の家族歴(同:2.57)

 著者らは「強迫症から統合失調症への診断変更の根底にある病態メカニズムを解明するためには、さらなる研究が求められる」としている。

(鷹野 敦夫)