モルヌピラビル使用の注意点は?コロナ薬物治療の考え方第11版/日本感染症学会

提供元:ケアネット

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公開日:2022/01/07

 

 日本感染症学会(理事長:舘田一博氏[東邦大学医学部教授])は、12月24日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第11版」をまとめ、同会のホームページで公開した。

 今回の改訂では、先般特例承認されたモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)に関する記載が追加された。

 以下に主な改訂点について内容を抜粋して示す。

【4. 抗ウイルス薬等の選択】
(1)抗ウイルス薬としてレムデシビル、モルヌピラビルなど、中和抗体薬としてカシリビマブ/イムデビマブ、ソトロビマブなど、(2)免疫調整薬・免疫抑制薬としてデキサメタゾン、バリシチニブ、トシリズマブについて記載を追加。

【モルヌピラビル】の項目を追加
・機序
 モルヌピラビルは、リボヌクレオシドアナログ。SARS-CoV-2におけるRNA依存性RNAポリメラーゼに作用し、ウイルスRNAの配列に変異を導入、ウイルスの増殖を阻害する。
・海外での臨床報告
 日本国内の3施設を含む20ヵ国、107施設で実施した多施設共同、プラセボ対照、ランダム化二重盲検試験。重症化リスクのある非重症COVID-19患者(目標症例数1,550例)の外来治療を対象。発症5日以内の治療開始で偽薬群(699名)の重症化が68名(9.7%)に対し、治療群(709名)では48名(6.8%)と、相対的リスクが30%減少。また、死亡例は治療群で1名(0.1%)に対して、プラセボ群では9名(1.3%)と治療群で少なかった。
・投与方法(用法・用量)
 通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。
[投与時の注意点]
1)臨床試験における主な投与知見を踏まえ、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有するなど、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与すること。
2)本剤の有効性・安全性に係る情報は限られていることなどを踏まえ、重症化リスク因子を有する者(例:61歳以上、活動性のがん、慢性腎臓病、糖尿病など)が、本剤を投与する意義が大きいと考えられる。
3)重症度の高いSARS-CoV-2による感染症患者(中等症II以上)に対する有効性は確立していない。
4)SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始すること。
5)新型コロナウイルスワクチンの被接種者は臨床試験で除外されているため、ブレイクスルー感染での重症化予防等の有効性を裏付けるデータは得られていない。
6)妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、授乳婦については、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること。
・入手方法
 本剤は、現状、安定的な入手が可能になるまでは、一般流通は行われず、厚生労働省が所有した上で、対象となる患者が発生した医療機関および薬局からの依頼により、無償譲渡。

 本手引きの詳細は、同学会のサイトで確認していただきたい。

(ケアネット 稲川 進)

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