統合失調症の死亡率と関連するリスク因子

提供元:ケアネット

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公開日:2021/12/24

 

 統合失調症患者の死亡率に関連する因子を調査するため、トルコ・コジャエリ大学のHilmi Yasar氏らは、10年間のフォローアップ調査を実施した。Turk Psikiyatri Dergisi誌2021年秋号の報告。

 2004~08年に大学病院の精神科を受診し、外来および/または入院にて治療を受けた統合失調症患者の記録を検索し、2018年末までの生存率を算出した。その結果は、同一期間の一般集団におけるすべての原因による死亡率と比較した。また、統合失調症患者の死亡率に影響を及ぼすリスク因子についても調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・登録された患者626例のうち506例を本検討に含めた。
・10年間の死亡率は10.6%、死亡時の平均年齢は53.1歳であった。
・全体的な平均寿命は73.4歳であり、男性66.6歳、女性77.6歳と差が認められた。また、喫煙者の平均寿命は64.7歳、非喫煙者は76.5歳であった。
・全体的な標準化死亡比(SMR)は3.7、男性3.9、女性3.3であった。
・死亡に関連するリスク因子は、高齢、男性、喫煙者、無職、早期発症であった。

 著者らは「統合失調症患者の死亡リスクに対し、喫煙は重大なリスク因子である。禁煙プログラムを優先し、患者が参加できるリハビリテーションサービスを支援することにより、死亡リスク減少が期待できるであろう」としている。

(鷹野 敦夫)