3回目のワクチンは2回目完了から8ヵ月/厚労省

提供元:ケアネット

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公開日:2021/11/25

 

 11月17日、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンについて、今後のCOVID-19ワクチンの追加接種などに関する自治体向け説明会を開催した。追加接種については11月15日開催のワクチン分科会を踏まえた対応方針をもとに行われる。本稿では資料より抜粋した主要項目を示す。

ワクチン追加接種のスケジュール

(1)3回目の追加接種について
【ワクチンの対象者】
・感染拡大防止及び重症化予防の観点から、1回目・2回目の接種が完了していない者への接種機会の提供を継続するとともに、2回接種完了者すべてに対して追加接種の機会を提供する。
・18歳以上の者に対する追加接種としてファイザー社ワクチンが薬事承認されたことを踏まえ、まずは18歳以上の者を予防接種法上の特例臨時接種に位置付ける。
・重症化リスクの高い者、重症化リスクの高い者と接触の多い者、職業上の理由などによりウイルス曝露リスクの高い者については、とくに追加接種を推奨する。
【使用するワクチン】
・1回目・2回目に用いたワクチンの種類にかかわらず、mRNAワクチン(ファイザー社ワクチンまたモデルナ社ワクチン)を用いることが適当。
(※mRNAワクチン以外のワクチンの使用は科学的知見を踏まえ引き続き検討)
・当面は、薬事承認されているファイザー社ワクチンを使用することとし、追加接種にモデルナ社ワクチンを使用することに関しては、薬事審査の結果を待って改めて議論する。
【2回目接種完了からの接種間隔】
・2回目接種完了から原則8ヵ月以上とする。
(2)小児(5~11歳)の新型コロナワクチンの接種について
 小児の感染状況、諸外国の対応状況および小児に対するワクチンの有効性・安全性を整理した上で、議論する。
(3)特例臨時接種の期間について
 現行の期間(令和4年2月28日まで)を延長し、令和4年9月30日までとする。

小児への接種では学校集団接種は推奨せず

 小児への接種体制については、事前承認前であり、すべて予定の情報である。

【小児用(5~11歳用)ファイザー社ワクチンの特性について】
 5~11歳用のファイザー社ワクチンは、12歳以上用の(既存の)ファイザー社ワクチンとは濃度や用量が異なる。5~11歳の方には、必ず5~11歳用のワクチンを使用のこと。

 とくに希釈が必要(1.3mLの薬液を1.3mLの生理食塩液で希釈)で、1回当たり0.2mLを接種する。小分けルールは12歳以上用の製剤と同様。

【基本的な考え方】
 小児への接種についても、(1)1機関で複数ワクチンを取り扱うことを許容するほか、(2)12歳以上と同様に小児用ワクチンを取り扱う医療機関間での小分け配送が可能。

 また、12歳以上用と小児用で取扱いルールが異なることから、別種類のワクチンとして扱う。複数ワクチンを取り扱う場合には、混同しないような接種体制が必要。

 (3)学校集団接種については、「保護者への説明機会が乏しい」「体調不良時の対応の困難性」などの制約から現時点では推奨するものではない。

若年に多い副反応報告

 アナフィラキシーなどの副反応に関する報告を次のようにまとめている。

【アナフィラキシーについて】
(1)引き続き国際的な基準(ブライトン分類)に基づく評価を実施。
(2)ファイザー社ワクチンのアナフィラキシー疑いとして報告されたものは、接種開始から10月24日までに2,922件(うちブライトン分類で555件がアナフィラキシー)と評価された。
(3)武田モデルナ社ワクチンは10月24日までに製造販売業者報告は491件だった(うちブライトン分類に基づく評価においては、アナフィラキシーと評価されたものは50件)。
(4)アストラゼネカ社ワクチンは10月24日までに医療機関報告は3件あり、いずれもブライトン分類4だった。
(5)年齢、性別別の解析結果では、若年の女性においてアナフィラキシーの報告頻度が多い傾向がみられている。
(6)アナフィラキシー疑いとして報告され、転帰が確認されたほとんどの例で軽快したことが判明している。
【心筋炎関連事象について】
(1)集団としての分析に関し、以下の状況が認められる。
・COVID19感染症により心筋炎を合併する確率は、ワクチン接種後に心筋炎を発症する確率と比較して高い。ワクチン接種後の心筋炎については、国内外において、若年男性で2回目接種後4日以内の発症報告が多い。
・(ワクチン間の被接種者の属性が異なることに留意が必要として)国内における年齢、性別別の報告頻度に係る集団的な解析で、10歳代および20歳代男性の報告頻度が多く、10歳代および20歳代男性についてファイザー社ワクチンに比べて、モデルナ社ワクチン接種後の報告頻度が高い。
・心筋炎関連事象疑い事例の死亡の報告頻度は一般人口と比べて高かったが、若年の年代別の死亡全体の報告頻度は一般人口と比べて低かった。
(2)心筋炎関連事象の転帰は、発症しても軽症であることが多いとされている。国内で報告があった若年男性の事例では、死亡例や重症例も報告されているが、引き続き、転帰が確認可能であった多くの事例で、軽快または回復が確認されている。
【血小板減少症を伴う血栓症について】
 ファイザー社ワクチンについては12件、モデルナ社ワクチンについては2件、アストラゼネカ社ワクチンについては1件が、ブライトン分類に基づき血小板減少症を伴う血栓症と評価された。
【年齢・性別に関して】
(1)mRNAワクチンにおいては、アナフィラキシーおよび心筋炎関連事象以外の副反応疑い報告全体の報告頻度についても、若年者において報告頻度が多い傾向がみられている。
(2)死亡報告については高齢者において報告頻度が多い傾向がみられてれいる。

 なお、上記の報告内容は発表時点の内容であり、接種対応などについては、12月1日以降の改正された省令・大臣指示により行われる。

(ケアネット 稲川 進)

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