分娩様式と産後うつ病との関連~JECS研究

産後うつ病は、母親の自殺などを含む健康への悪影響と関連している。分娩様式は、産後うつ病のリスク因子といわれているが、この関連を調査した大規模コホート研究は、あまり行われていなかった。大阪大学の馬場 幸子氏らは、出産1ヵ月後および6ヵ月後における分娩様式と産後うつ病リスクとの関連を調査した。Journal of Epidemiology誌オンライン版2021年7月31日号の報告。
帝王切開は1ヵ月後の産後うつ病リスクとわずかな関連が認められた
単生児出産の母親8万9,954人を対象とした全国調査のデータを用いて、出産方法と産後うつ病との関連を調査した。産後うつ病の評価は、出産1ヵ月後および6ヵ月後にエジンバラ産後うつ病評価尺度(13点以上)を用いて測定した。産後うつ病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、出産前の身体的、社会経済的、精神的要因で調整した後、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。出産方法と産後うつ病との関連を調査した主な結果は以下のとおり。
・産後うつ病の発症率は、出産1ヵ月後で3.7%、6ヵ月後で2.8%であった。
・帝王切開は、自然分娩と比較し、1ヵ月後の産後うつ病リスクとわずかな関連が認められたが(調整OR:1.10、95%CI:1.00~1.21)、6ヵ月後の産後うつ病リスクとの関連は認められなかった(調整OR:1.01、95%CI:0.90~1.13)。
・1ヵ月後の産後うつ病リスクとの関連は、出産前に心理的苦痛を有する女性において、より顕著であった(調整OR:1.15、95%CI:1.03~1.28)。
・乳児に対する授乳方法で調整した後、これらの関連性が弱まることが示唆された。
著者らは「出産前に心理的苦痛が認められ、帝王切開により出産した女性では、産後うつ病のモニタリングを強化する必要がある」としている。
(ケアネット)
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