分娩様式と産後うつ病との関連~JECS研究

提供元:ケアネット

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公開日:2021/09/20

 

 産後うつ病は、母親の自殺などを含む健康への悪影響と関連している。分娩様式は、産後うつ病のリスク因子といわれているが、この関連を調査した大規模コホート研究は、あまり行われていなかった。大阪大学の馬場 幸子氏らは、出産1ヵ月後および6ヵ月後における分娩様式と産後うつ病リスクとの関連を調査した。Journal of Epidemiology誌オンライン版2021年7月31日号の報告。

 単生児出産の母親8万9,954人を対象とした全国調査のデータを用いて、出産方法と産後うつ病との関連を調査した。産後うつ病の評価は、出産1ヵ月後および6ヵ月後にエジンバラ産後うつ病評価尺度(13点以上)を用いて測定した。産後うつ病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、出産前の身体的、社会経済的、精神的要因で調整した後、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・産後うつ病の発症率は、出産1ヵ月後で3.7%、6ヵ月後で2.8%であった。
・帝王切開は、自然分娩と比較し、1ヵ月後の産後うつ病リスクとわずかな関連が認められたが(調整OR:1.10、95%CI:1.00~1.21)、6ヵ月後の産後うつ病リスクとの関連は認められなかった(調整OR:1.01、95%CI:0.90~1.13)。
・1ヵ月後の産後うつ病リスクとの関連は、出産前に心理的苦痛を有する女性において、より顕著であった(調整OR:1.15、95%CI:1.03~1.28)。
・乳児に対する授乳方法で調整した後、これらの関連性が弱まることが示唆された。

 著者らは「出産前に心理的苦痛が認められ、帝王切開により出産した女性では、産後うつ病のモニタリングを強化する必要がある」としている。

(ケアネット)