HER2陽性早期乳がんへのトラスツズマブの上乗せ効果~メタ解析/Lancet Oncol

提供元:ケアネット

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公開日:2021/08/23

 

 HER2陽性早期乳がんに対する補助化学療法へのトラスツズマブ上乗せによる再発率と死亡率への長期的ベネフィットについて、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative group(EBCTCG)が7つの無作為化試験のメタ解析により検討した。その結果、トラスツズマブ上乗せにより、患者および腫瘍の特徴にかかわらず、乳がん再発率を34%、乳がん死亡率を33%減少させたことが示唆された。Lancet Oncology誌2021年8月号に掲載。

 本研究は、化学療法+トラスツズマブを化学療法のみと比較した無作為化試験における個々の症例データのメタ解析。リンパ節転移なしまたはありの手術可能な乳がん女性を登録した無作為化試験が含まれる。ベースラインの特徴、最初の遠隔再発と局所再発もしくは2次発がんの日付と部位、死亡の日付と原死因について、各症例のデータを収集した。主要アウトカムは、乳がん再発率、乳がん死亡率、再発なしの死亡率、全死亡率とした。年齢、リンパ節転移の有無、エストロゲン受容体(ER)の状態、試験で層別化し、ITT集団で解析した。トラスツズマブ併用群と化学療法単独群の年間イベント発生率比(RR)とその信頼区間(CI)をlog-rank検定を用いて推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・選択基準を満たした無作為化試験は7件、計1万3,864例で、2000年2月~2005年12月に登録された。
・予定治療期間の平均は14.4ヵ月、観察期間中央値は10.7年(四分位範囲:9.5~11.9)だった。
・化学療法単独よりトラスツズマブ併用のほうが、乳がんの再発リスク(RR:0.66、95%CI:0.62~0.71、p<0.0001)および乳がん死亡リスク(RR:0.67、95%CI:0.61~0.73、p<0.0001)が低かった。10年での再発率は絶対値で9.0%(95%CI:7.4~10.7、p<0.0001)減少し、乳がん死亡率では6.4%(95%CI:4.9~7.8、p<0.0001)減少、全死亡率では6.5%(95%CI:5.0~8.0、p<0.0001)減少した。再発なしの死亡率は増加しなかった(0.4%、95%CI:-0.3~1.1、p=0.35)。
・トラスツズマブ上乗せによる再発率の減少は、無作為化後0~1年で最大であり(RR:0.53、99%CI:0.46〜0.61)、2〜4年(RR:0.73、99%CI:0.62〜0.85)および5~9年(RR:0.80、99%CI:0.64~1.01)ではベネフィットが継続し、10年目以降はほとんどフォローアップされていなかった。また、患者および腫瘍の特徴(ERの状態含む)にかかわらず、同様だった。

(ケアネット 金沢 浩子)