アトピー性皮膚炎、黄色ブドウ球菌自家株を用いた細菌療法で重症度改善

提供元:ケアネット

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公開日:2021/07/07

 

 近年、アトピー性皮膚炎(AD)患者の皮膚マイクロバイオーム(微生物叢)に注目した研究が進んでおり、その中でも検出頻度の高い黄色ブドウ球菌(S. aureus)について、繰り返す皮膚炎症状との関連が指摘されるようになっている。

 米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のTeruaki Nakatsuji氏らは、成人11例を対象とした無作為化二重盲検試験において、AD患者の皮膚から培養したS. aureus自家株を用いた細菌療法が、S. aureusのコロニー形成を安全に減少し、疾患重症度を改善する可能性が示されたと報告した。著者は、「より大規模な研究が必要だが、S. aureusを減らすというこの個別化アプローチは、抗菌薬、免疫抑制剤、免疫モジュレーションに代わるAD患者の治療法となりうるだろう」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年6月16日号掲載の報告。

 研究グループは、AD患者各人のS. aureusに特異的な抗菌活性を有するコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CoNS)を用いて製剤化した個別化外用クリーム(自家抗菌性CoNS[自家CoNS-AM+]クリーム)が、S. aureusのコロニー形成を減じ、疾患重症度を改善するか否かを評価するため、無作為化二重盲検プラセボ対照試験を単施設にて行った。

 被験者は、成人の中等度~重症AD患者11例で、無作為に自家CoNS-AM+クリームを塗布する群(5例)またはプラセボクリームを塗布する群(6例)に割り付けられた。自家CoNS-AM+は、AD患者各人の非病変皮膚から採取したスワブ検体からの分離株で、培養増殖した後、107コロニー形成単位/gの濃度で採取した患者の前腕部に局所的に塗布された。

 主要評価項目は、自家CoNS-AM+治療1週間後のS. aureus量で、株ベース法およびDNAベース法で評価した。副次評価項目として、安全性と臨床的アウトカムを評価した。試験は2016年4月~2018年5月に実施、データ解析は2018年5月~2019年7月に行われた。

 主な結果は以下のとおり。

・被験者11例のうち男性が4例(36.4%)、女性は7例(63.6%)であった。
・自家CoNS-AM+群およびプラセボ群に重篤な有害事象はなかった。
・治療終了時点で、病変部のS. aureus株は、自家CoNS-AM+群(log10でみた対ベースライン比中央値:-1.702[95%信頼区間[CI]:-2.882~-0.523])が、プラセボ群(0.671[-0.289~1.613])と比べて99.2%減少した(p=0.01)。
・減少は、治療後4日時点でも持続していた(p=0.03)。自家CoNS-AM+群-1.752(95%CI:-3.051~-0.453)、プラセボ群-0.003(-1.083~1.076)。
・重要な点は、11日時点で評価した病変部のEczema Area And Severity Indexスコアで、自家CoNS-AM+群(平均変化割合:-48.45[95%CI:-84.34~-12.55])の、プラセボ群(-4.52[-36.25~27.22])に対する有意な改善が認められたことであった(p=0.04)。

(ケアネット)

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