食道がんのニボルマブ術後補助療法、追加解析の成績(CheckMate 577)/ASCO2021

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/18

 

 CheckMate577試験は、食道がん/食道胃接合部がんに対する術後補助療法としての免疫チェックポイント阻害薬を評価した世界初の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、ニボルマブはプラセボと比較して無病生存期間(DFS)を統計学的に有意に延長することが報告されている(N Engl J Med. 2021; 384: 1191-1203.)。米国・ベイラー医科大学医療センターのRonan Joseph Kelly氏は、既報の結果も含め有効性、安全性およびQOLに関する追加解析の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表。ニボルマブ群で無遠隔転移生存期間(DMFS)、無増悪生存期間2(PFS2;無作為化から2次治療の増悪、3次治療の開始または死亡までの期間)を延長したことを報告した。

・対象:術前補助化学放射線療法および完全切除後に病理学的残存病変を認めたStageII~III食道/食道胃接合部がん患者、PS 0~1、794例
・試験群:ニボルマブ240mgを2週間ごと16週間、その後480mgを4週間ごと投与(ニボルマブ群、532例)
・対照群:プラセボ(プラセボ群、262例)
・評価項目:
[主要評価項目]DFS
[副次評価項目]全生存期間(OS)、1年OS率、2年OS率、3年OS率
[探索的評価項目]安全性、DMFS、PFS2、QOL

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中央値24.4ヵ月であった。
・DMFS中央値は、ニボルマブ群28.3ヵ月、プラセボ群17.6ヵ月であった(HR:0.74、95%CI:0.60~0.92)。
・遠隔再発はニボルマブ群29% vs.プラセボ群39%、局所再発は12% vs.17%で、いずれもニボルマブ群で低頻度であった。
・PFS2中央値は、ニボルマブ群未到達(95%CI:34.0~NE)、プラセボ群32.1ヵ月(95%CI:24.2~NE)であった(HR:0.77、95%CI:0.60~0.99)。
・ニボルマブの忍容性は良好で、ほとんどの治療関連有害事象(TRAE)はGrade1/2であった。重篤なTRAEの発現率は、全Gradeでニボルマブ群8%、プラセボ群3%、TRAEによる治療中止は同様に全Gradeでそれぞれ9%、3%であった。
・ニボルマブ群における主な免疫関連TRAEは、ほとんどがGrade1/2でありGrade3/4は1%以下で、Grade5はなかった。免疫関連TRAEは早期に発現し(発現までの期間中央値6〜13週)、ほとんどの患者は確立された管理アルゴリズムにより回復した(回復までの期間中央値3~21週間)。

 Kelly氏は、「術前補助化学放射線療法と完全切除を受けても病理学的完全奏効が得られなかった食道/食道胃接合部がん患者に対し、ニボルマブによる術後補助療法は新たな標準治療となり得る」とまとめた。