ペムブロリズマブの腎細胞がん術後アジュバントが予後を改善(KEYNOTE-564)/ASCO2021

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/18

 

 淡明細胞型腎細胞がん(RCC)に対する腎摘除手術後の術後療法としてのペムブロリズマブの単剤治療が、生存の延長に寄与するという発表が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのToni K. Choueiri氏より発表された。

 本試験(KEYNOTE-564)は、国際共同の無作為化二重盲検比較の第III相試験であり、今回が初めての中間解析結果報告である。

・対象:腎摘除術を12週間以内に受け、再発リスク分類で中程度以上と判定された淡明細胞型RCC
・試験群:ペムブロリズマブ200mg/日 3週間ごと最長1年間投与(Pembro群)
・対照群:プラセボ 3週間ごと最長1年間投与(Pla群)
・評価項目:
[主要評価項目]主治医判定による無病生存期間(DFS)
[副次評価項目]全生存期間(OS)、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・2017年6月~2019年9月に、994例(Pembro群:496例/Pla群:498例)が登録された。
・リスクカテゴリー中等度~高度の症例(N0/M0/核異形度4のpT2またはpT3)が、約86%を占め、PD-L1発現は、CPSスコア1以上が74%~77%、1未満が23~25%であった。
・観察期間中央値が24.1ヵ月時点(データカットオフ2020年12月)でのDFS中央値は両群ともに未到達で、Pembro群のPla群に対するハザード比(HR)は0.68、95%信頼区間(CI)は0.53~0.87、p=0.0010と有意にPembro群で良好であった。
・1年DFS率は、Pembro群85.7%、Pla群76.2%、2年DFS率は、Pembro群77.3%、Pla群68.1%で、両群のカプランマイヤー曲線は早期から離れる傾向を示していた。各サブグループでのDFS解析では、全体と齟齬のある因子は無かった。
・OS中央値も両群未到達で、HRは0.54(95%CI:0.30~0.96)、p=0.0164であったが事前設定のp値の有意水準は超えていなかった。1年OS率は、Pembro群98.6%、Pla群98.0%、2年OS率はおのおの96.6%と93.5%であり、今後の追跡が期待される結果であった。
・安全性については既報と同様、全身倦怠感、甲状腺機能異常、皮膚障害などがPembro群で多く報告された。治療関連有害事象による投薬中止はPembro群で17.6%(中止中央値7サイクル)であったが、両群とも治療関連死はなかった。免疫関連有害事象でステロイド剤の投薬が必要となったのはPembro群で7.4%であった。

 発表者は、「KEYNOTE-564は、RCCの術後療法として、臨床的に意味のあるDFSの延長を示した初めての試験であり、今後の新しい標準療法としての可能性を示した」と結んだ。

(ケアネット)