日本における自閉症の特徴を有する女性の産後うつ病と虐待リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2020/12/10

 

 自閉症の特徴を有する女性が、出産後に母親となり、どのような問題に直面するかはあまりわかっていない。順天堂大学の細澤 麻里子氏らは、出産前の非臨床的な自閉症の特徴と産後うつ病および産後1ヵ月間の子供への虐待リスクとの関連、これらに関連するソーシャルサポートの影響について、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月5日号の報告。

 日本全国の出生コホートである子どもの健康と環境に関する全国調査(Japan Environment and Children's Study)より、精神疾患の既往歴のない単胎児の母親7万3,532人を対象とした。自閉症の特徴は、簡易自閉症スペクトラム指数日本語版を用いて、妊娠第2三半期/第3三半期に測定した。対象者を、自閉症スコアに基づき3群(正常、中等度、高度)に分類した。産後うつ病はエジンバラ産後うつ病尺度日本語版を、子供の虐待は自己報告を用いて、出産1ヵ月後に測定した。妊娠中のソーシャルサポートは、個々に収集した。データ分析には、ポアソン回帰を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・産後1ヵ月間で、産後うつ病は7,147人(9.7%)、子供への虐待は1万2,994人(17.7%)より報告された。
・自閉症の特徴は、交絡因子とは無関係に、産後うつ病および子供への虐待のリスク増加との関連が認められた。
 【自閉症スコア中等度】
 ●産後うつ病(調整後相対リスク[aRR]:1.74、95%CI:1.64~1.84)
 ●子供への虐待(aRR:1.19、95%CI:1.13~1.24)
 【自閉症スコア高度】
 ●産後うつ病(aRR:2.33、95%CI:2.13~2.55)
 ●子供への虐待(aRR:1.39、95%CI:1.28~1.50)
・自閉症スコアが中等度または高度の女性に対するソーシャルサポートは、産後うつ病および子供への虐待のリスクを、26~31%緩和させた。

 著者らは「自己報告による評価であるため、制限がある」としながらも「中等度または高度の自閉症の特徴を有する母親は、産後1ヵ月間で、産後うつ病や新生児虐待に対する脆弱性が認められており、妊娠中のソーシャルサポートが不足している可能性が示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)