HER2+胃・胃食道接合部腺がん患者におけるトラスツズマブ デルクステカン(DESTINY-Gastric01)/ASCO2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/17

 

 HER2高発現の胃・胃食道接合部(GEJ)腺がんにおける抗HER2抗体複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)のオープンラベル多施設無作為化第II相試験DESTINY-Gastric01の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、国立がん研究センター東病院の設樂 紘平氏により発表された。今回はHER2陽性(IHC 3+またはIHC 2+/IS+)で、トラスツズマブを含むレジメンで進行したプライマリコホートの報告。

・対象:2ライン以上の前治療歴があるHER2陽性(IHC 3+またはIHC 2+/IS+)胃/GEJ腺がん
・試験薬:T-DXd 6.4mg/kg 3週ごと(T-Dxd群)
・対照薬:医師選択による化学療法(イリノテカンまたはパクリタキセル)(PC群)
・評価項目:
[主要評価項目]独立中央委員会(ICR)評価による奏効率(ORR)
[副次評価項目]全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、ICR評価の確定ORR(4週間持続)、奏効期間(DoR)、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・全66施設(日本48、韓国18)から患者187例が登録され、T-DXd群(n=125)またはPC群(n=62)に2:1に無作為に割り付けされた。
・前治療レジメン数中央値は2、86%がタキサン、72%がラムシルマブ、33%がPD-(L)1阻害薬の治療を受けていた。
・データカットオフ時の治療継続は、T-DXd群22.4%、PC群の4.8%であった。
・ORRは、T-DXd群51.3%、PC群は14.3%と、有意にT-DXd群で高かった(p<0.0001)。
・確定ORRは、T-DXd群42.9%、PC群は12.5%であった。
・DCRは、T-DXd群82.5%に対し、PC群62.5%であった(P=0.0005)、DoR中央値は、T-DXd群11.3ヵ月に対し、PC群3.9ヵ月であった。
・OS中央値は、T-DXd群12.5ヵ月に対し、PC群8.4ヵ月と、T-DXd群で有意に延長した(HR:0.59、95%CI:0.39〜0.88、p=0.0097)。
・PFS中央値は、T-DXd群5.6ヵ月に対し、PC群3.5ヵ月であった(HR:0.47、95%CI:0.31〜0.71)。
・両群で一般的なGrade3以上の有害事象(AE)は、好中球減少、貧血、および白血球数減少であり、T-DXd群でより頻度が多かった。薬物関連死亡は、肺炎による1件がT-DXd群で発現した。T-DXdによるILDは9.6%に発現し、内訳はGrade1 3例、Grade2 6例、Grade3 2例、Grade4 1例、Grade5なし、であった。

(ケアネット 細田 雅之)

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