アルツハイマー病とレビー小体型認知症の入院リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2020/04/20

 

 認知症患者の入院リスクは高いことが知られているが、このことに認知症の種類による違いがあるのかは、あまりわかっていない。ノルウェー・スタヴァンゲル大学病院のRagnhild Oesterhus氏らは、アルツハイマー病(AD)患者とレビー小体型認知症(LBD)患者で入院に違いがあるのかを調査し、その入院率について年齢をマッチさせた一般集団との比較を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年3月5日号の報告。

 対象は、軽度のAD(110例)またはLBD(91例)と最近診断された外来診療所受診患者(年齢:75.7±7.4歳)。対象患者には、診断後5年間または死亡までフォローアップが行われた。研究のアウトカムは、診断後の初回入院までの期間、入院回数、総入院日数、在院期間とした。年齢標準化入院率を算出した。初回入院までの期間の分析には、競合リスク回帰モデルを用い、入院回数と入院日数の違いの分析には、負の二項回帰モデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者の入院率は77%以上であり、多くは予定外の入院であった。
・LBD患者で、AD患者と比較し、有意な差が認められたのは以下の点であった。
 ●初回入院までの期間の短さ(中央値:1.28年[95%CI:0.93~1.67]vs.2.32年[95%CI:1.74~3.31])
 ●予定外の入院日数の多さ(中央値:7日[IQR:2~26]vs.2日[IQR:0~11])

 著者らは「LBD患者は、AD患者よりも初回入院までの期間が短く、入院率が高いことが示唆された。このことは、患者やその家族、医療システムに大きな負荷をかけることから、認知症患者の入院については、さらなる情報が必要とされる。今後の研究において、入院を回避するための予防可能な戦略の調査が求められる」としている。

(鷹野 敦夫)