ベンゾジアゼピンや抗コリン薬の使用と認知症発症との関連
- 提供元:
- ケアネット
- 公開日:2019/08/27
- ツイート
ベンゾジアゼピンや抗コリン薬の使用と認知症リスクの関連について、オランダ・アムステルダム大学のMelanie Hafdi氏らが、プロスペクティブコホート研究を行った。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2019年7月9日号の報告。
対象は、オランダの家庭医療116施設より募集された認知症でない70~78歳の高齢者3,526人。薬剤使用に関する情報は、ベースラインおよび2年間のフォローアップ期間中に報告され、対象者の電子カルテと照合した。抗コリン薬の曝露は、抗コリン作動性認知負荷尺度(anticholinergic cognitive burden score)により定義した。対象者は、2年ごとのフォローアップ中に認知症について評価され、電子カルテや死亡記録から情報を補填した。
主な結果は以下のとおり。
・フォローアップ期間の中央値6.7年間で、認知症を発症した高齢者は233人(7%)であった。
・認知症発症率は、ベンゾジアゼピン使用者で6%、非使用者で7%であった(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.58~1.07)。
・ベースラインおよび2年間のフォローアップ後のベンゾジアゼピン継続使用でも、ポイント推定値は実質的に変わらなかった(HR:0.60、95%CI:0.34~1.10)。
・抗コリン薬使用と認知症発症率に関連は認められなかった(HR:1.01、95%CI:0.50~1.10)。
・抗コリン作動性認知負荷尺度のスコアが高い抗コリン薬の継続使用者は、認知症リスクが有意に増加していたが(HR:1.95、95%CI:1.13~3.38)、抗うつ薬または抗精神病薬の使用者を除外すると、その差は認められなかった(HR:0.42、95%CI:0.06~3.01)。
著者らは「ベンゾジアゼピンの使用は、認知症リスク増加と関連が認められなかった。継続的な長期抗コリン作用の曝露は、6年間のフォローアップ期間を通じて、認知症リスクとの関連が認められたが、この関連は、抗うつ薬または抗精神病薬の使用によって促進され、これに寄与するバイアスが示唆された。医療者は、ベンゾジアゼピンと抗コリン薬の潜在的なベネフィットと、関連する健康アウトカムへの影響を慎重に比較検討し、処方を改善することが求められる」としている。
■「抗コリン薬と認知症」関連記事
抗コリン薬、認知症発症と強く関連/BMJ
(鷹野 敦夫)
掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)
[ 最新ニュース ]
[ あわせて読みたい ]
- Dr.白石のLet's エコー 運動器編(2019/11/07)
- 毎日使える 街場の血液学(2019/10/09)
- Dr.林の笑劇的救急問答14<下巻>(2019/08/07)
- Dr.安部の皮膚科クイズ 初級編(2019/07/15)
- ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15)
- Dr.たけしの本当にスゴい高齢者身体診察(2019/05/15)
- J-COSMO(ジェイ・コスモ)Vol.1 No.1(2019/04/17)
- Dr.林の笑劇的救急問答14<上巻>(2019/03/15)
- 志水太郎の診断戦略ケーススタディ(2019/02/15)
- Dr.長尾の胸部X線クイズ 全3巻セット(2019/01/15)