ゲノム医療=遺伝子解析ではない!

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ケアネット

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 肺がん治療においては、現在、4つのドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF)に対して分子標的薬が承認されている。6月1日、これら4つのドライバー遺伝子を少量の検体で同時に測定できるコンパニオン診断システム「オンコマイン Dx Target Test マルチCDxシステム」(以下オンコマイン)が保険収載された。6月10日に開催されたメディアセミナー(サーモフィッシャーサイエンティフィック/ノバルティス ファーマ共催)で、後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院呼吸器内科長/サポーティブケアセンター長)が有効な治療薬を患者さんに届けることの重要性を強調した。

ゲノム医療=遺伝子解析ではない!
 オンコマインの保険収載と同じ日に、がん遺伝子パネル検査であるFoundationOne CDxがんゲノムプロファイル(中外製薬)およびOncoGuide NCCオンコパネルシステム(シスメックス)も保険収載された。後藤氏は、一部のマスメディアがこれらの保険収載を報道する際に、遺伝子解析をすることがゲノム医療であるように報道していることについて、「ゲノム医療(「個別化医療」「Precision Medicine」とほぼ同義)とは、遺伝子解析に基づいて有効な治療薬を患者に届けることであり、遺伝子解析=ゲノム医療ではない。遺伝子検査ができても有効な治療薬が届かなければ、ゲノム医療とは言えない」と指摘した。

コンパニオン検査とプロファイリング検査の違い
 次に、遺伝子検査を理解するうえで知っておくべき重要なキーワードとして、後藤氏はコンパニオン検査とプロファイリング検査の2つを説明した。

 コンパニオン検査は、治療薬と1対1対応になっており、陽性になれば承認された有効な治療薬が投与可能になる検査である。一方、プロファイリング検査とは、標準治療の完了後にさらなる治療の可能性を求めて行う検査で、治療は主に未承認薬である(臨床試験)。オンコマインは前者であり、がん遺伝子パネル検査であるFoundationOne CDxがんゲノムプロファイルおよびOncoGuide NCCオンコパネルシステムは後者である。後藤氏は「後者がゲノム医療の主体であるかのような報道があるがそうではなく、主体はコンパニオン検査であることを認識してほしい」と訴えた。

 なお、オンコマインはがん遺伝子パネル検査とは異なり、がん診療を実施しているすべての医療施設で使用できる。

 検査費用は、オンコマインは11万7,000円、がん遺伝子パネル検査はいずれも56万円(検査実施料8000点、検査判断・説明料4万8000点)である。後藤氏は、がん遺伝子パネル検査で遺伝子変異が判明しても、臨床試験に登録されていて治療が可能になるのは約5%しかないことを指摘し、「5%しか治療に結び付かない検査を国民皆保険制度の中で保険収載して、税金で賄っていくことについて、もっと検討すべきではないか」と見解を述べた。

4つのドライバー遺伝子を少量の検体で測定可能
 オンコマインは次世代シーケンスを用いた遺伝子パネル検査で、46種類の遺伝子検査が可能である。そのうち4つのドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF)の薬剤適応判定補助の目的で承認された。原則、この4種類の遺伝子の測定結果のみがレポートされ、残りの42種類については、医師から申し出があった場合に限り、例外的に参考情報として返却されるという。

 現在、進行肺がんの治療開始前には、これらの4つのドライバー遺伝子を診断することが必須となっている。従来は別々に検査しなければならなかったが、オンコマインにより1回でまとめて検査できるようになり、短期間で検査できる。また、個々に遺伝子検査をすると最大33枚の標本スライドが必要であるが、オンコマインでは2~9枚で解析できる。後藤氏らの施設では、標本スライドをわずか2枚用いるだけでも約50%が解析可能であったという。

 講演中、後藤氏はたびたび、患者さんに有効な治療薬を届けることの重要性を強調した。現在、治療薬が承認されている遺伝子変化を、少ない検体量と短い期間で、どの医療施設でも検査できるオンコマインによって、より早く、有効な治療薬が届くことが期待される。

(ケアネット 金沢 浩子)

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