強迫症合併双極性障害患者に対するアリピプラゾール増強療法に関するシステマティックレビュー 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/03/05 双極性障害(BD)と強迫症(OCD)は、精神科医療でみられる一般的な併存症状だが、BDとOCD合併患者への治療は依然として臨床的課題となっている。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、OCDの第1選択薬として用いられるが、BDの気分症状に対し不安定化を引き起こす可能性がある。そのため、BDとOCD合併患者に対する最適な治療法は、まだ確立されていない。米国・タフツメディカルセンターのA. Amerio氏らは、BDとOCD合併患者に対するアリピプラゾール増強療法についてシステマティックレビューを行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年2月6日号の報告。 各電子データベース(MEDLINE、Embase、PsycINFO、コクランライブラリー)より、2018年8月までの論文を検索した。 主な結果は以下のとおり。 ・気分安定薬(リチウム、バルプロ酸)へのアリピプラゾール増強療法は、低用量(10~15mg/日)であっても情動性および強迫症状の寛解に対し有意な効果が認められた。 ・アリピプラゾールは、一般的に安全かつ忍容性が良好であった。 ・ただし、多くの論文は症例報告であり、主に外来患者を対象としていたため、選択バイアスや限られた集団全体の一般化を来している可能性がある。 著者らは「限られた論文と異質性を考慮したうえで、現在利用可能なエビデンスからの最良の解釈として、BDとOCD合併患者に対する気分安定薬へのアリピプラゾール増強療法は、低用量であっても有効である可能性がある」としている。 ■関連記事 双極性障害と強迫症、併存率が高い患者の特徴 治療抵抗性強迫症に対する増強治療に関するメタ解析 治療抵抗性強迫症に対するフルボキサミンとメチルフェニデート徐放剤の併用治療 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Amerio A, et al. J Affect Disord. 2019 Feb 6. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 双極性障害患者の強迫性障害合併、その特徴は 医療一般(2017/10/20) ブレクスピプラゾールvs.アリピプラゾール、日本人のうつ病に対する有効性・安全性に差は? 医療一般 日本発エビデンス(2024/03/05) 強迫症患者における統合失調症への診断変更の可能性 医療一般(2022/04/20) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] SGLT2阻害薬、自己免疫性リウマチ性疾患のリスクは?/BMJ(2025/10/24) 腹部大手術時の周術期血圧管理、個別化vs.通常/JAMA(2025/10/24) ALK陽性進行NSCLCへのアレクチニブ、OS中央値81.1ヵ月(ALEX)/ESMO2025(2025/10/24) 下剤のルビプロストン、重大な副作用にアナフィラキシー追加/厚労省(2025/10/24) 免疫療法の対象とならない進行TN乳がん1次治療、Dato-DXdがPFSとOSを延長(TROPION-Breast02)/ESMO2025(2025/10/24) 結腸がん術後ctDNAによるde-escalation、リスク低減も非劣性は示されず(DYNAMIC-III)/ESMO2025(2025/10/24) 寝たきり原因第1位「脳卒中」、最新治療アクセス改善と患者支援の最前線/日本脳卒中学会・日本脳卒中医療ケア従事者連合・日本脳卒中協会(2025/10/24) 父親の厳しい子育てが子供のメンタルヘルスに影響(2025/10/24) [ あわせて読みたい ] 第50回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー(2025/04/18) ASCO2025 まとめ(2025/06/02) かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ(2025/06/13) 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29)