スマホ写真で皮膚科の遠隔医療は可能

スマートフォンのカメラ機能の進歩(写真画質と画像転送の両方)は、患者と医師を直接つなぐ遠隔医療を成立させ、患者が治療を受ける機会を改善するのではと期待されている。では、小児皮膚疾患を、親から提供されたスマホ写真で正確に診断できるのか。米国・フィラデルフィア小児病院のDaniel M. O’Connor氏らによる前向き研究の結果、そうした方法で、正確な治療を提供可能なことが示された。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年11月15日号掲載の報告。
研究グループは、2016年3月1日~9月30日に、フィラデルフィア小児病院の小児皮膚科クリニックにおいて前向き研究を行った。研究の主要目的は、親から提供されたスマホ写真に基づく診断と、対面診察での診断の一致率を評価することであった。また、副次目的は、親が写真の撮り方について指導を受けた場合と受けなかった場合とで、前記の一致率に影響がみられるかを評価することであった。
対象は40組の親子(女児22例、男児18例、平均年齢[±SD]:6.96[±5.23]歳)。登録後、スマートフォンを用いて最も良い写真を撮影する方法について指導を受ける(簡単な3つのステップから成る方法が記載された指導シートを渡す)介入群と、何も指導をしない対照群とに、半々に無作為に割り付けられた。そして、割り付けに基づき、診察室で親はスマートフォンで子供の気になる部位の皮膚写真を撮り、電子カルテにアップロードして送信した。その後、基本的な問診調査などを完了。そのうえで全例が、外来スケジュールに基づき2人いる医師のうちどちらかの対面診察を受けた。一方で、遠隔医療専門医が、アップロードされた写真と問診調査などの情報を基に診断を行った。
一致率は、評価者間で偶然起き得る一致を考慮してCohenκを用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・全体において、写真に基づく診断と診察に基づく診断の一致率は83%(95%信頼区間[CI]:71~94%、κ=0.81)であった。
・写真の画質が診断するのに十分高かった37組のサブグループにおいて、診断の一致率は89%(95%CI:75~97%、κ=0.88)であった。
・介入群と対照群で、一致率に統計学的な差はなかった(85% vs.80%、p=0.68)。
・診断に迷う症例については、適切なフォローアップが提案されていた。
(ケアネット)
[ 最新ニュース ]

乳がん検出の違い、3Dマンモvs.デジタルマンモ/JAMA(2022/06/24)

mRNAワクチン後の心筋炎/心膜炎リスク、何回目が高いか/Lancet(2022/06/24)

カナグル、「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」の追加承認を取得/田辺三菱(2022/06/24)

思春期女性の食事行動とうつ病との関連(2022/06/24)

大腸がんへのトリフルリジン・チピラシル+ベバシズマブとトリフルリジン・チピラシル単剤の比較/ASCO2022(2022/06/24)

NSCLCに対するペムブロリズマブ術後補助療法の第III相試験サブグループ解析(KEYNOTE-091/PEARLS)/ASCO2022(2022/06/24)

ビデオゲームで子どもの知力が高まる?(2022/06/24)

再発難治DLBCLに対する二重抗体薬glofitamabの有効性/ASCO2022(2022/06/24)
[ あわせて読みたい ]
Dr. 倉原の”おどろき”医学論文(2013/08/21)
Dr.ゴン流ポケットエコー簡単活用術(2014/06/11)
ここから始めよう!みんなのワクチンプラクティス ~今こそ実践!医療者がやらなくて誰がやるのだ~(2014/05/15)
「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)
抗がん剤皮膚障害セミナー(2)マルチキナーゼ阻害薬I最新情報(2013/09/27)
こどものみかた<下巻> ~シミュレーションで学ぶ見逃せない病気~(2013/07/08)
「内臓疾患が関与する皮膚病変」ミニアトラス(2013/06/25)
こどものみかた<上巻> ~シミュレーションで学ぶ見逃せない病気~(2013/06/24)
「内臓疾患関与のない皮膚病変」ミニアトラス(2013/06/18)
症例クイズ「がんを合併する1例の診断」(2013/06/04)