60歳未満の降圧薬服用者、血圧高いと認知症リスク高い

提供元:ケアネット

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公開日:2017/06/09

 

 血圧と認知症の関係については相反する疫学研究結果が報告されている。今回、ノルウェー科学技術大学HUNT研究センターのJessica Mira Gabin氏らが、認知症診断の最大27年前まで(平均17.6年)の血圧と認知症について調査したところ、60歳以上では収縮期血圧と認知症が逆相関を示したが、60歳未満の降圧薬使用者では収縮期血圧や脈圧の上昇とアルツハイマー病発症が関連していた。Alzheimer's research & therapy誌2017年5月31日号に掲載。

 本研究では、ノルウェーのNord-Trondelag郡における1995~2011年の認知症発症データを収集し、専門家パネルが診断を検証した。さらに、このデータを被験者の個人識別番号を用いて、1984~86年(HUNT1)および1995~97年(HUNT2)に実施された大規模な住民健康調査であるNord-Trondelag Health Study(HUNT研究)データと結び付けた。HUNT研究の参加者2万4,638人のうち579人がアルツハイマー病、またはアルツハイマー病と血管性の混合型認知症、または血管性認知症と診断された。

 主な結果は以下のとおり。

・60歳以上においては、年齢、性別、教育およびその他の関連する共変量を調整後、認知症全体、アルツハイマー病/血管性の混合型認知症、アルツハイマー病では収縮期血圧との逆相関が一貫して認められたが、血管性認知症では認められなかった。

・この結果は、降圧薬の使用にかかわらず、HUNT1とHUNT2の両方で観察された。

・60歳未満の降圧薬服用者では、収縮期血圧および脈圧とアルツハイマー病との間に有害な関連がみられた。

(ケアネット 金沢 浩子)