血友病A治療は個別化治療の時代へ~コバールトリイの特徴とは~

提供元:ケアネット

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公開日:2017/03/14

 

 血液凝固因子欠乏の遺伝性疾患である血友病。今回は、近年相次いで新薬が発売され、改めて注目されている血友病Aにフォーカスし、2016年6月にバイエル薬品株式会社(以下、バイエル薬品)により発売された「コバールトリイ(一般名:オクトコグ ベータ)」について広報担当者より話を聞いた。

血友病治療の概要とコバールトリイの特徴
 血友病は、第VIII因子欠乏である血友病Aと第IX因子欠乏である血友病Bに分類されている。2015年度の全国調査の結果では、血友病A患者の割合は血友病患者全体の約8割を占め、患者数は約5,000人であった1)
 血友病に対する治療は、欠乏した血液凝固因子を補充する「補充療法」で、そのタイミングや目的によって、(1)定期補充療法 (2)予備的補充療法 (3)出血時補充療法の3種類に分類される。なかでも、出血の有無に関わらず血液凝固因子の活性トラフ値が維持できるため、定期的に血液凝固因子を補充する定期補充療法が治療の主流である。
 コバールトリイは、バイエル薬品が販売する「コージネイトFS(一般名:オクトコグ アルファ)」の後継品であり、コージネイトFSと同じアミノ酸配列を有した第VIII因子を有効成分とした製剤である。ウイルスろ過膜処理の導入、そして培養工程以降で動物・ヒト由来の原料を使用していない、といった製造工程の改良により、感染症の潜在的なリスクが排除されることが期待される。

国際共同臨床試験:LEOPOLDプログラム
 コバールトリイは、国内外で実施した複数の国際共同臨床試験(LEOPOLDプログラム)の結果から有効性・安全性を確認した。主な試験結果は以下のとおりである。

●LEOPOLD II試験2)
 <対象> 12~65歳の治療歴のある重症型血友病A患者80例(日本人8例)
 <投与量>
  ・定期補充療法群(低用量):20~30IU/kg・週2回
  ・定期補充療法群(高用量):30~40IU/kg・週3回
  ・出血時補充療法群:コージネイトFSの用法・用量に準じる
 <主要評価項目> 推定年間出血率(ABR)
  ・定期補充療法群一人あたりのABR:1.98回/年(中央値)
  ・出血時補充療法群一人あたりのABR:59.96回/年(中央値)
 <結果> 出血時補充療法群に対する定期補充療法群の優越性を確認

●LEOPOLD Kids試験(パートA2)
 <対象> 12歳以下(小児)の治療歴のある重症型血友病A患者51例
 <投与量> 25~50IU/kg・週2回以上
 <主要評価項目> 定期補充療法の各投与後48時間以内の全出血のABR
  ・0.00回/年(中央値)
 <結果> 週2回、週3回または隔日投与の定期補充療法レジメンの有効性を確認
※パートB(未治療患者を対象とするLEOPOLD Kids試験)は現在継続中である。

 LEOPOLDプログラムにおいて認められた副作用は193例中10例(5.2%)で、主な副作用はそう痒2例(1.0%)であった。

個別化治療の時代へ
 現在、治療の主流は定期補充療法であるが、今後はさらに、個々に応じた定期補充療法が提案される時代になるといわれている。これは、生活スタイルや出血傾向が患者ごとに異なり、薬剤の投与量・投与間隔の調整など、個々に応じた治療が求められるためである。
 コバールトリイを定期補充療法に使用する場合、成人に対しては「週2回または週3回投与」、12歳以下の小児に対しては「週2回、週3回または隔日投与」することが可能である。バイエル薬品の広報担当者は「コバールトリイは週2回または週3回投与による定期補充療法のエビデンスがあるため、個々の患者さんに合わせた柔軟な治療が1剤で提案できると考えられます」と話す。
 新薬登場によって治療法の選択肢が増え、患者によって異なる出血傾向や生活スタイルに応じた治療が必要とされている。個別化治療にも対応できるコバールトリイが、患者のQOL向上をもたらす選択肢の1つとなるかもしれない。

(ケアネット 木津 朋也)

参考

1)血液凝固異常症全国調査平成27年度報告書;2016.p.3.(公益財団法人エイズ予防財団.血液凝固異常症全国調査運営委員会. )
2)News Release 2016年3月28日(バイエル薬品)