日本人高齢者の不眠、男女間で異なる特徴:岡山大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/03/10 不眠症の患者数は、高齢化社会に伴い急速に増加している。認知機能、情動機能、ADL機能に対する不眠症の影響は十分に研究されていない。岡山大学の菱川 望氏らは、日本人高齢者の不眠の有病率や認知機能、情動機能、ADL機能に対する影響について、性別、年齢により比較した。Neurological research誌オンライン版2017年2月9日号の報告。 対象は、地方行政の健康診断を受けた高齢者コミュニティ住民142人。対象者は、MMSEを含む認知機能、情動機能、ADL機能テストを行った。アテネ不眠尺度(AIS)スコアに基づいて2つのサブグループに分類し(AIS 3以下とAIS 4以上)、性別、年齢による認知機能、情動機能、ADL機能を比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・主観的な不眠症(AIS 4以上)は、36.2%で認められ、男性よりも女性で多かった。 ・AISサブグループ間での認知機能に差は認められなかった。 ・男女ともに、老年期うつ病評価尺度(GDS)スコアは、AIS 3以下群よりもAIS 4以上群で有意に高かった。 ・やる気(Apathy Scale)スコアは、AIS 4以上群の男性で有意に高かった。 ・AISサブスケールのうち「日中の眠気」は、男性よりも女性で有意に高く(p<0.01)、とくに75歳以上で顕著であった(p<0.01)。 ・この高齢女性群は、Trail Making Testスコアが有意に低かった(p<0.05)。 著者らは「不眠症は、日本人高齢者コミュニティにおいて36.2%に認められた。不眠症患者では、抑うつ症状が多く認められ、男性ではやる気の低下を示した。75歳以上の女性における最も特徴的な点は、日中の眠気の頻度が高いことで、注意や執行機能の低下に関連する可能性がある」としている。 関連医療ニュース 不眠症になりやすい食事の傾向 一般開業医でも不眠症治療を効果的に行うためには 2つの新規不眠症治療薬、効果の違いは (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hishikawa N, et al. Neurol Res. 2017 Feb 9. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 不眠症重症度質問票(ISI)やアテネ不眠尺度(AIS)に違いはあるか 医療一般(2016/08/29) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 急性心房細動患者への薬物的除細動、vernakalant vs.プロカインアミド/BMJ(2025/12/04) eGFRcysとeGFRcrの乖離は死亡・心血管イベントと関連/JAMA(2025/12/04) 鉱質コルチコイド受容体拮抗薬(MRA)とSGLT2阻害薬の併用が慢性腎臓病(CKD)治療の基本となるか(解説:浦信行氏)(2025/12/04) ガイドライン順守率が精神疾患の長期アウトカムに及ぼす影響〜統合失調症とうつ病におけるEGUIDEプロジェクト(2025/12/04) 夕食時間が蛋白尿に影響、時間帯や患者特性は?(2025/12/04) 中年期の高感度トロポニンI高値が認知症と関連/Eur Heart J(2025/12/04) 夜間の人工光が心臓の健康に悪影響を与える(2025/12/04) トランスジェンダー女性のホルモン治療は心血管リスクを高めない(2025/12/04) [ あわせて読みたい ] Dr.林の笑劇的救急問答16<上巻> 肺炎編(2021/01/10) Dr.水谷の妊娠・授乳中の処方コンサルト(2020/10/10) 心不全特集まとめインデックス(2020/10/01) 腎性貧血特集まとめインデックス(2020/09/30) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【糖尿病・内分泌疾患編】(2020/09/10) Dr.安部の皮膚科クイズ 中級編(2020/08/10)