双極性障害患者の脳に対する向精神薬の影響は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/10/24 双極性障害患者の脳の構造が異常であるとのエビデンスがある。リチウムの摂取量は、全体および部分的に脳ボリュームを正常化すると考えられるが、脳容積や皮質厚に対する抗精神病薬の効果は明確ではない。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのLucija Abramovic氏らは、双極性障害I型患者の大規模な均質サンプルを用いて、抗精神病薬とリチウム摂取により誘導された疾患特異的な脳の偏差を明らかにするため検討を行った。European neuropsychopharmacology誌オンライン版2016年9月21日号の報告。 双極性障害I型患者266例および対象被験者171例よりMRI脳スキャンデータを収集した。患者群と対照群における皮質下ボリュームと全体および限局皮質測定(ボリューム、厚さ、表面積)を比較した。患者群において、リチウムおよび抗精神病薬と全体、皮質下、皮質測定との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。 ・患者群では、対照群と比較して、側面、第3脳室、尾状核、淡蒼球ボリュームが有意に大きく、前額部、頭頂部、帯状領域にあるいくつかの小さな皮質の有意な薄さが認められた。 ・リチウムを摂取制定しない患者では、リチウム摂取患者と比較し、脳全体、視床、被殻、淡蒼球、海馬、側坐核ボリュームが有意に小さかった。 ・抗精神病薬摂取患者では、大きな第3脳室、小さな海馬および辺縁皮質ボリュームと関連していた。 ・双極性障害患者では、脳全体、皮質下、心室容積、とくに尾状核と淡蒼球の異常が認められた。 関連医療ニュース 双極性障害患者の脳灰白質はどうなっている 抗精神病薬が脳容積の減少に関与か 双極性障害ラピッドサイクラーの特徴は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Abramovic L, et al. Eur Neuropsychopharmacol. 2016 Sep 21. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 双極性障害とADHDは密接に関連している 疫学(頻度)(2013/01/30) 双極性障害患者のラピッドサイクラーと寛解に関連する臨床的特徴 医療一般 日本発エビデンス(2020/10/30) 抗精神病薬は脳に委縮などのダメージを与えるのか 医療一般(2015/01/30) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 肥満手術、SADI-SはRYGBを凌駕するか/Lancet(2025/09/09) 9月20日・21日、産業保健の最新動向を学ぶ!日本産業保健法学会【ご案内】(2025/09/09) 心房細動と動脈硬化、MRIで異なる脳血管病変示す/ESC2025(2025/09/09) うつ病治療において有酸素運動と組み合わせるべき最適な治療は(2025/09/09) DPP-4阻害薬でコントロール不十分な2型糖尿病にイメグリミン追加が有効~FAMILIAR試験(2025/09/09) 高齢者への不適切処方で全死亡リスク1.3倍、処方漏れで1.8倍(2025/09/09) オメガ3脂肪酸が小児の近視抑制に有効?(2025/09/09) 厳格な血圧コントロールは心臓の健康だけでなく費用対効果も改善(2025/09/09) [ あわせて読みたい ] トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) 災害対策まとめページ(2024/02/05) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)