CABG既往ACSへのスタチン治療 エゼチミブの上乗せ効果

IMPROVE-IT試験では、急性冠動脈症候群(ACS)に対するシンバスタチン+エゼチミブ併用療法の有用性を評価し、両剤併用によりシンバスタチン単剤と比較してLDL-C値が約24%改善することが示された。今回、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のAlon Eisen氏らは、IMPROVE-IT試験のサブ解析により、高リスクと考えられる冠動脈バイパス術(CABG)の既往がある患者に対するエゼチミブの上乗せ効果を検討した。European Heart Journal誌オンライン版2016年8月28日号に掲載の報告。
IMPROVE-IT試験のサブ解析、CABG既往の有無で比較
CABG既往歴がある患者の急性冠動脈症候群を発症した際のリスクは、CABG既往歴がない患者と比較して高い。研究者らは、CABG既往歴のある患者がACSで入院した後、スタチン製剤にエゼチミブを加えることの有効性と安全性を評価した。IMPROVE-IT試験では、ACSを発症し、初診時の平均LDL-C値が93.8mg/dLの患者を無作為化によりシンバスタチン+エゼチミブ群またはシンバスタチン+プラセボ群に割り付けた。主要評価項目は心血管関連死、主要な冠動脈イベント、脳卒中とし、平均追跡期間は6年であった。有効性と安全性の評価項目を以前のバイパスの状態によって評価した。
1万8,134人の患者のうち1,684例(9.3%)がCABGを受けていた(平均年齢69歳、82%が男性)。試験期間中、時間加重平均値は、CABG既往歴がある場合、シンバスタチン+エゼチミブ群で55.0mg/dL、シンバスタチン+プラセボ群で69.9mg/dL(p<0.001)で、CABG既往歴がない場合でそれぞれ53.6mg/dL、69.5mg/dLであった(p<0.001)。
CABG既往患者でエゼチミブの効果が増大
主要評価項目はCABG群で有意に高く(56% vs.32%、HR:1.45[95%CI:1.33~1.58])。CABGの既往があるシンバスタチン+エゼチミブ投与群が、シンバスタチン+プラセボ群と比較して、主要評価項目に対する絶対的なリスクが8.8%低かった(95%CI:3.1~14.6%)。一方で、CABGの既往がない患者では、リスクの低下が1.3%にとどまった(95%CI:0~2.6%)。報告者らは、CABG既往歴がある患者ではエゼチミブの上乗せ効果が大きく、この結果はACS発症後の高リスク患者に対する集中的な脂質低下療法の実施を支持するものであるという結論を示している。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)
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