アルツハイマー病の味覚障害は老化によるものか:滋賀医大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/08/01 アルツハイマー型認知症(AD)は、病理学的に脳内の大規模なニューロン損失により特徴づけられ、味覚野が影響を受けると考えられる。しかし、AD患者における味覚機能に関する報告は少なく、この研究結果は矛盾していることから、滋賀医科大学の小河 孝夫氏らが、プロスペクティブ研究により検討を行った。Auris, nasus, larynx誌オンライン版2016年7月11日号の報告。 本プロスペクティブ研究では、連続した軽度~中等度のAD患者22例(平均年齢:84.0歳)、対照群として認知症のない高齢ボランティア49例(平均年齢:71.0歳)が登録された。対照群は年齢に応じて、若年者群28例(平均年齢:68.5歳)と高齢者群21例(平均年齢:83.0歳)の2群に分類された。味覚機能は、ろ紙ディスク法(FPD)および電気味覚検査(EGM)を用いて調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・AD患者では、年齢をマッチさせた対照群と比較して、FPDによって測定された味覚機能の有意な低下が認められた。このような差異は、若年者群と高齢者群との間では認められなかった。 ・一方、EGMの閾値に関しては、AD患者と年齢をマッチさせた対照群との間に差はなかった。 著者らは「AD患者においては老化とは別に、FPD法により味覚機能の低下が認められたが、EGMの閾値に関しては差がなかった。これらの結果から、AD患者では周辺味覚系における味覚伝達障害ではなく、脳における味覚処理の減退が示唆される」としている。 関連医療ニュース 認知症では味覚に関する機能も低下:東北大学 家庭の味が認知症ケアには必要 日本食は認知症予防によい:東北大 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Ogawa T, et al. Auris Nasus Larynx. 2016 Jul 11. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 老けやすいのはどんな人?老化の原因をランキング 医療一般(2023/03/17) 花粉症患者はコロナによる嗅覚・味覚障害が悪化しやすい 医療一般(2023/03/16) アルツハイマー型認知症でみられる味覚障害の調査 医療一般 日本発エビデンス(2020/04/28) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 術後VTEの予防、REGN7508Catがエノキサパリンを上回る/Lancet(2025/12/08) 宅配DASH食+カウンセリングで血圧は改善するか/JAMA(2025/12/08) 成人期発症の再発型ネフローゼ症候群に対する抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)(2025/12/08) 10人に1人が糖尿病疑い、男性は3割が肥満/国民健康・栄養調査2024(2025/12/08) HR+/HER2-進行乳がん1~2次治療、パルボシクリブvs.ribociclib vs.アベマシクリブ(2025/12/08) 若年女性の4人に1人が低体重:運動習慣が与える影響はBMIで異なる(2025/12/08) 多くの若者がAIチャットボットにメンタルヘルスの問題を相談(2025/12/08) 代謝異常を伴う脂肪肝「MASLD」、慢性腎臓病の独立リスクに(2025/12/08) [ あわせて読みたい ] 第50回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー(2025/04/18) ASCO2025 まとめ(2025/06/02) 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11)