日本のTAVRのアウトカムは良好か?リアルワールドの結果示される

提供元:ケアネット

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公開日:2016/04/08

 

 2016年3月、日本循環器学会学術集会にて、慶應義塾大学循環器内科 林田健太郎氏が日本のTAVRの多施設レジストリ、OCEAN-TAVIの結果を発表した。

 TAVRは2002年から臨床応用が始まり、現在では世界で20万人が治療を受けている。本邦では2013年に承認され、施行数も増加している。しかしながら、日本におけるリアルワールドの大規模なデータはない。そこで、本邦のTAVR症例の4割程度を占めるハイボリュームセンター8施設の前向き多施設レジストリデータを形成し、日本でのアウトカムを検討した。

 対象患者は2013年10月~2015年7月までに8施設に登録された749名。使用デバイスはSapien XT。評価項目は手技成功率、30日死亡率、VARC2定義による合併症、30日死亡予測因子であった。

 患者の平均年齢は84.3歳、70%が女性であった。平均BSA 1.4m2、Logistic Euroスコア17.0%、STSスコア8.1%であった。CKDが67.2%おり、CABGが7.9%に、PADが15.9%に施行されていた。施術はTFアプローチが8割、TAアプローチが2割であった。

 結果、手技成功率は96.9%(TF97.4%、TA95.0%)。30日死亡率は2.0%(TF1.7%、TA3.5%)と、海外の成績に比べ良好であった。
 虚血性脳卒中発現率は2.1%であった。また、PPM(prosthesis-patient mismatch)発生率は中等度と重度を合わせて6.8%であった。
 30日死亡の予測因子は、男性、腎機能、STSスコア。
 死亡率を年齢層別に解析すると、80歳未満4.3%、80歳以上90歳未満1.7%、90歳以上0.9%であった。死亡率が、年齢と共に下がっていること、90代の死亡率も極めて低いことが特徴的であった。

(ケアネット 細田 雅之)