HDL-C高値で冠動脈疾患リスク減、超高値では?

提供元:ケアネット

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公開日:2016/03/15

 

 HDL-コレステロール(HDL-C)が高値(~2.06mmol/L)の場合は冠動脈疾患に対して保護作用を示すが、さらに高い値では保護作用はみられなかったと、NIPPON DATA90研究グループが20年間のコホート研究の結果、報告した。Journal of atherosclerosis and thrombosis誌オンライン版2016年2月26日号に掲載。

 HDL-Cが非常に高い場合、冠動脈疾患および他の原因での死亡率にどのように影響するのかを調査したコミュニティベースのコホート研究は存在しない。NIPPON DATA90研究グループでは、日本人の代表的なサンプルの20年間のコホート研究において、HDL-C超高値と原因別死亡率の関係を調査した。

 日本人の一般的な集団から7,019人(男性2,946人、女性4,073人)を追跡し、HDL-C値は、低値(<1.04mmol/L)、基準値(1.04~1.55mmol/L)、高値(1.56~2.06mmol/L)、超高値(2.07mmol/L以上)に分類・定義した。全死因または原因別死亡率のための多変量調整ハザード比(HR)は、他の古典的危険因子について調整Cox比例ハザードモデルを用いて計算した。

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中、1,598人が死亡した。
・HDL-Cと全死因死亡率および脳卒中死亡率との間に有意な関連はみられなかった。
・HDL-C高値群における冠動脈疾患リスクは、HDL-C基準値群より低かった。
・男性におけるHRは0.51(95%CI:0.21~1.23)、女性では0.33(95%CI:0.11~0.95)、男女合わせると0.41(95%CI:0.21~0.81)であった。
・一方、HDL-C超高値群では、冠動脈疾患および他の原因別死亡率との有意な関連はみられなかった。

 著者らは結論で、今回の日本人7,019人を対象とした20年間の追跡調査では、HDL-C超高値群における原因別死亡のサンプルサイズが不十分であったとし、より大規模なコホート研究が実施されるべきとしている。

(ケアネット 金沢 浩子)